『イングロリアス・バスターズ』～ユダヤ人、英国軍スパイ、米軍コマンドー、ドイツ軍人入り乱れるヒトラー暗殺

『イングロリアス・バスターズ』Inglourious Basterds¹

逃亡ユダヤ人、英国軍スパイ、米軍コマンドーがヒトラーや側近の暗殺を企む映画。歴史的事実や社会システムの背景を描くというより、それらを題材にしたエンターテインメント。最後まで何度も起こるどんでん返しが153分の映画でも飽きさせません。東京新聞の大谷弘路は、タランティーノが史実を”臆面もなく脚色して”うまくエンターテインメントに仕上げたと評しました²。

監督クエンティン・タランティーノらしい、どんどん撃ち合い、どんどん人が倒れていくウェスタン風空想娯楽映画です。『パルプ・フィクション』を超えて、タランティーノ最大のヒット作品となりました。いつもタランティーノ監督はカメオ出演しますが、この作品にもドイツ兵として出演しています。

1970年代に公開されたイタリア映画『地獄のバスターズ¹』から着想を得たそうです。

多くの賞にノミネートされ受賞しましたが、中でもドイツ将校ハンス・ランダ大佐¹を演じたクルストフ・ヴァルツ¹が英・米アカデミー賞やゴールデングローブ賞の助演男優賞、カンヌ映画祭の男優賞など多くの賞を受賞しました。2013年には、同じタランティーノ監督の『ジャンゴ繋がれざる者』¹で賞金稼ぎの歯科医役を演じ、二度目のアカデミー賞助演男優賞を受賞しました。

ブラッド・ピットやタランティーノ映画によく出演するサミュエル・Lジャクソン（ナレーターとして）らが出演しています。タランティーノファンで第二次大戦ものフリークのコメディ俳優マイク・マイヤーズ¹（『オースティン・パワーズ』など）も、英国軍将校役で数分間出演しています。

ナチスの中で映画政策にかかわった宣伝相のゲッペルスや、後にナチの主要な映画監督となるレニ・レフェンシュタールの映画がかかっているエピソードなどが盛り込まれています。

『高い城の男』（テレビドラマ）シーズン３　第1話　女流映画監督レニ・レフェンシュタール

色々な国の軍人が出てきますが、SSのマークの襟章や髑髏の帽章で親衛隊をみわけられます。また、鷲と髑髏のマークでもドイツ軍だとわかります。

『高い城の男』（テレビドラマ）シーズン３　第3話　ナチスのシンボルデザイン