ワーグナーのオペラ
- オペラ
- 01☞『さまよえるオランダ人』 (Der fliegende Holländer )1842年
- 02☞『タンホイザー』 (Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg 『タンホイザーとワルトブルクの歌合戦』)1845年
- 03☞『ローエングリン』 (Lohengrin )1848年
- 04☞『トリスタンとイゾルデ』 (Tristan und Isolde )1865年
- 05☞『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 (Die Meistersinger von Nürnberg )1867年
- 06☞『ニーベルングの指環』 (Der Ring des Nibelungen )
- 07☞『パルジファル』 (Parsifal)
- その他の舞台作品
- 交響曲、管弦楽曲その他の作品
- 著作
オペラ
01☞『さまよえるオランダ人』 (Der fliegende Holländer )1842年
- 3幕歌劇、1842年完成。ワーグナーの遺志により1幕形式で上演される。救済のない荒々しい音楽の初稿と、救済のある幾分穏やかな音楽の改訂稿がある。
02☞『タンホイザー』 (Tannhäuser und der Sängerkrieg auf Wartburg 『タンホイザーとワルトブルクの歌合戦』)1845年
-
原作1「タンホイザー伝説」タンホイザーは、バーベンベルク家のオーストリア公フリードリヒ2世に仕えていたという記録が残る実在の人物1で、性の快楽を知ろうとした事を悔い改めるべくローマ教皇ウルバヌス4世に懺悔も、教皇は自分のもつ枯れ木の杖に葉が生えない限り救済できないと拒否。後日教皇の杖に芽が生えた事から、タンホイザーの捜索が始まるが、ついに彼を見つけ出す事ができなかったという伝説です[16]。
原作2「ヴァルトブルクの歌合戦の伝説」2ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハのパトロンだったテューリンゲン方伯ヘルマン1世の宮殿で行われた命をかけた歌合戦で、ハインリヒ・フォン・オフターディンゲンが、ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデに負けました。ハインリヒは黒魔術師クリングゾール(Klingsor)の助力によって勝利をつかもうとしますが、その相手となったヴォルフラムがクリングゾールのかけた謎を解き彼を退けます[17]。タンホイザー(ハインリッヒ)(テノール)清き恋人と愛欲のあいだで悩むヴァルトブルク城の騎士。歌合戦でも愛欲を歌い教皇の許しが得られるまで追放される。恋人の後を追って息を引き取った直後に教皇からの恩赦の知らせがとどく。
エリーザベト(ソプラノ)ヘルマン1世の姪。タンホイザーの恋人。自らの死と引き換えに神に恋人の許しを請う。
ヴェーヌス(ビーナス)( メゾソプラノ)ヴェーヌスベルクに住む快楽の女神。
ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ(バリトン)ハインリッヒを諫める親友の騎士。
ヘルマン1世(バス)テューリンゲンの領主。
ビーテロルフ(バス)歌合戦でタンホイザーと対立するヴァルトブルク城の老騎士。
ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ(テノール)歌合戦で対戦する騎士。
ハインリヒ(テノール)書記
ラインマル・フォン・ツヴェーター(バス)吟遊詩人
若い羊飼い(ソプラノ)
03☞『ローエングリン』 (Lohengrin )1848年
- メトロポリタン歌劇場ウェブサイト(1986年上演)より
- 3幕の歌劇。1848年完成、1850年にヴァイマルで初演。初稿には「グラール語り」が入っているが普通は演奏されない。白鳥の騎士ローエングリンが窮地に追い込まれたブラバント王女エルザを救って結婚するが、のちに自らの素性を明かして去ってゆくという筋書き。前記
- 音楽的には「第1幕への前奏曲(チャップリンの「独裁者」で有名)」「第3幕への前奏曲」「婚礼の合唱」がとくに知られる。なお、本作におけるライトモティーフ「質問禁止の動機」とチャイコフスキーのバレエ『白鳥の湖』(1877年)の旋律的に延長された主題に、類似性が指摘されている[77]。
-
アーサー王伝説やケルト神話に登場する白馬の騎士ローエングリン1は、中世ドイツの宮廷叙事詩やグリムの伝える伝説集などでも伝わっています。1
ローエングリン(テノール)白鳥の騎士。実は、聖杯を守護する円卓の騎士パルツィヴァル王の息子。
エルザ・フォン・ブラバント(ソプラノ)ローエングリンと結婚するブラバント公国の公女。
フリードリヒ・フォン・テルラムント伯爵(バリトン)ブラバント公国の実権をねらって騎士と決闘。
オルトルート(メゾソプラノ)フリードリヒの妻。魔法使い。
ハインリヒ・デア・フォーグラー(バス)東フランク王ハインリヒ1世。
ハインリヒ王の伝令(バス)
ゴットフリート(歌わない)公国の世継ぎ。オルトルートの魔法で白鳥されたエルザの弟。ローエングリンはエルザに身元を聞くなといい、君の無垢が私に勝利をもたらす(英語字幕から邦訳)と歌う。愛は信じることだといいたいのかもしれないけど、女は黙ってついてこい的な?
制作された時代や国の背景が影響していると想像されるけれど、オペラとジェンダーの研究を探してみよう。作者ワーグナーは、ヨハン・シュトラウス2世やシューマンと交流がありました。また、不倫の末、フランツ・リストの娘コジマと結婚しました。
『ローエングリン』に感銘を受けたルードヴィヒ2世1はワーグナーを金銭的に支援するほか、多額の国費を投じてノイシュヴァンシュタイン城(邦訳:新白鳥城)を建設したり、自身がローエングリンに扮したりしました。負債や政治を顧みないことから、当時の首相らに精神病により統治不能とされ“狂王”とよばれることもありました。ルードヴィヒ2世が主人公ローエングリンに憧れ、自らをローエングリンと空想し、逃亡中の作者ワーグナーをエルザとみなして保護したとも言われています。(Amazonリンク)
96☞『ルードヴィヒ』318歳での父王の逝去から死までの人生を描くドイツ映画。
97☞『ルートヴィヒII世』 : 上 ・下 氷栗優 (著)5つ星のうち4.5(2個の評価) 厩舎長の廷臣ホルニヒとの関係をボーイズラブ視点で描いています。ルードヴィヒはホモセクシュアルの傾向に悩んでいたと4され、相手の可能性としてホルニヒ他、トゥルン・ウント・タクシス家の王子パウル5、ハンガリー人俳優ジョセフ・カインツ6、廷臣Alfons Weber (b.1862) などが挙がっています。唯一心を許した友人のオーストリア皇后エリザベートの妹と婚約していましたが、延期の末破棄、以降結婚はしませんでした。ルードヴィヒの弟も精神を病んでいたと言われています。ただ、この兄弟が本当に精神を病んでいたかどうか疑問視する研究も少なくありません。7アドルフ・ヒトラーもまた『ローエングリン』の熱狂的な愛好者で、第3幕でハインリヒ王による「ドイツの国土のためにドイツの剣をとれ!」の演説を、ドイツとゲルマン民族の国威発揚のために様々な機会に利用しました。
同様の状況はヴェルディ『ナブッコ』1の「行け、我が想いよ、金色の翼に乗って」がイタリア独立戦争時に使われたと言われています。近年の研究では、そのような伝説に疑問が投げかけられていますが、正規の国歌とする提案も数度にわたって行われたこともあり、今日のイタリア国民にとって「第二の国歌」的位置付けにあります。(サイト内リンク)ワーグナーの息子夫妻(高い城の男)
04☞『トリスタンとイゾルデ』 (Tristan und Isolde )1865年
-
(写真はメトロポリタン歌劇場2008年上演Dieter Dorn演出版よりhttps://metoperafree.brightcove.services/?videoId=6178070755001)
アーサー王伝説の、ブリテンの騎士とその叔父で王の妃であるアイルランドの姫とのロマンスに基づいていますが、ワーグナー自身のパトロンの妻との情事に触発された作品。
元々の起源はケルト伝説ですが、12世紀頃にはフランスを経てドイツに伝わり、13世紀頃にはアーサー王伝説に組み込まれたようです1。トリスタン(Tristan)(テノール)コーンウォールの騎士。マルケ王の甥。かつてイゾルデの婚約者を討った際、自身も傷を負い、知らずにイゾルデに助けられる。イゾルデを迎えに行った際、誤って媚薬を飲みイゾルデと恋に落ちるが、メーロトに討たれる。
マルケ王(Marke)(バス)コーンウォールの王。アイルランドとの和平のためイゾルデと政略結婚する。トリスタンとイゾルデを許そうとするが時すでに遅し。
イゾルデ(Isolde)(ソプラノ)アイルランドの王女。結婚後もトリスタンと不倫。
クルヴェナール(Kurwenal)(バリトン)トリスタンの従僕。
メーロト(Melot)(テノール)マルケ王の家臣。トリスタンとイゾルデの関係を密告。
ブランゲーネ(Brangane)(メゾソプラノ)イゾルデの侍女。(サイト内リンク)98☞ロミオとジュリエット>トリスタンとイゾルデ
05☞『ニュルンベルクのマイスタージンガー』 (Die Meistersinger von Nürnberg )1867年
- 1867年完成、3幕楽劇。実在のニュルンベルクの詩人ハンス・ザックスを主人公とした喜劇調の楽劇ですが、ショーペンハウアーの哲学が反映されているとも言われています。「第1幕への前奏曲」「愛の洗礼式」「ヨハネ祭の場面」が有名。1
-
登場人物 Mは12名のマイスタージンガー1。歌上手と認定されたマイスター(親方)で、15世紀のニュルンベルグ市実在のマイスタージンガー達の名前が流用されています。
- ヴァルター・フォン・シュトルツィング(テノール):エファに一目ぼれするフランケン地方出身の若い騎士。歌合戦に参加しエファを得る。
- エファ(ソプラノ):騎士ヴァルターに一目ぼれするファイト・ポークナーの娘。歌合戦の優勝者に求婚されることになっている。
- ファイト・ポークナー(バス):M金細工師。エファの父。歌合戦の勝者に娘と財産を与えることを宣言するが、娘にも拒否権を与え、意向を尊重する。
- マクダレーネ(メゾソプラノ):エファの乳母でダフィの恋人。
- ダフィト(テノール):ヴァルターに歌の作法を教えるマクダレーネの恋人でザックスの従弟。
- ハンス・ザックス(バス):M男やもめの靴屋の親方。エファとヴァルターが相思相愛であることを知り、自分の思慕を断ちヴァルターを指導する。
- ジクストゥス・ベックメッサー(バス):M市書記。エファと間違えて乳母マクダレーネにセレナーデを歌いダフィトともめる。
- クンツ・フォーゲルゲザング(テノール):M毛皮屋。
- コンラート・ナハティガル(バス):M板金屋。
- フリッツ・コートナー(バス):Mパン屋。
- バルタザール・ツォルン(テノール):M錫細工師。
- ウルリヒ・アイスリンガー(テノール):M香料屋。
- アウグスティン・モーザー(テノール):M仕立屋。
- ヘルマン・オルテル(バス):M石鹸屋。
- ハンス・シュヴァルツ(バス):M靴下屋。
- ハンス・フォルツ(バス):M銅細工師。
06☞『ニーベルングの指環』 (Der Ring des Nibelungen )
4つの独立した楽劇からなる連作で、4夜にわたって上演される壮大な作品。ワーグナー自身の意図は4夜での通し上演だが、演奏家・聴衆の疲労を考慮し、最近はバイロイトでも2日の休みを入れ6日間で、一般の歌劇場では更に間隔をあけて上演される。実質的に音楽史上最大規模の作品。
- ワーグナー自身、本作品群をみずからのライフワークと定め、26年間にわたって作曲し続けた。その間に作曲を休止して『トリスタン』や『マイスタージンガー』を作曲している。
- 内容的には、それを手にした者は世界を支配できるという「ニーベルングの指環」をめぐり、小人族(ニーベルング)やヴァルハラの神々(ヴォータン)、巨人族(ファーフナー)、英雄ジークフリートが争うというもの。『ヴァルキューレ』第3幕冒頭における「ワルキューレの騎行」が音楽的に有名。
-
99☞序夜『ラインの黄金』 (Das Rheingold )
70☞第1夜『ヴァルキューレ』 (Die Walküre )
(↓メトロポリタン歌劇場アーカイブより)
ワーグナーの『ニーベルングの指環』4部作の2つめであるワルキューレは、最も有名で単独上演されることも多い作品です。1- ジークムント(テノール) ヴォータンが人間に生ませたヴェルズング族の若者。
- ジークリンデ(ソプラノ) 双子の兄と知らずに恋に落ちるジークムントの妹。フンディングの妻。
- フンディング(バス) ジークリンデの夫。ヴェルズング族の宿敵。
- ヴォータン(バリトン) 神々の長。神々の没落を予感し始めている。北欧神話のオーディンに当たる。
オーディンは”oðr”(狂った、激怒した)と-inn(~の主 など)から「狂気、激怒の主」を意味し、「シャーマン」と解釈されたり、「風の神、嵐の神」とされたりします。1
古ノルド語Odenオーディンは、古英語Wōdenウォーデン、ドイツ語Wodan (ヴォーダン)と変化していますが、英語の水曜日Wednesdayの語源で、ドイツ語、オランダ語、デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語も同じ語源です。- フリッカ(メゾソプラノ) ヴォータンの妃、結婚の女神。北欧神話のフリッグに当たる。
古ノルド語ではフリッグとよばれる愛と結婚と豊穣の女神。ローマ神話のヴィーナス1と同一視され、ラテン語でヴィーナスの日の意味であった金曜日が、英語ではフリッカを語源にFriday
ワルキューレは、北欧神話で戦場で死んだ英雄をオーディンの館ヴァルハラに連れていく女性達。古ノルド語のvalr(戦場の死体)とkjósa(選ぶ)の2語から「戦死者を選ぶもの」を意味するそうです。1このオペラではヴォーダンの娘たちとされています。
オペラの題Die Walküre(英語The Valkyrie)は定冠詞がついており、ブリュンヒルデ一人を指します。- ブリュンヒルデ(ソプラノ) ワルキューレの筆頭格。
- ゲルヒルデ、ヘルムヴィーゲ、オルトリンデ(ソプラノ) ワルキューレ
- ヴァルトラウテ、ジークルーネ、ロスヴァイセ(メゾソプラノ)ワルキューレ
- シュヴェルトライテ、グリムゲルデ(アルト) ワルキューレ
(YouTubeリンク)
50☞「ワルキューレの騎行」カラヤン指揮/バイロイト祝祭管(1951)
51☞「ワルキューレの騎行」フルトヴェングラー指揮(1954)
52☞「ワルキューレの騎行」 ショルティ指揮/ウィーン・フィル(1965)
11☞「Ride of the Valkyries」(2018)ピアニカ二重奏Melodica Menイギリスのワルキューレ、ユニティ・ミドフォード
イギリス貴族ユニティ・ヴァルキリー・ミドフォードは、大柄で「イギリスのワルキューレ」と言われていました。外交官として来日し明治天皇に拝謁したこともある祖父1が熱心なワグネリアンであったので、このような名前がつけられたとか。ウィンストン・チャーチルとも縁戚でエキセントリックな両親に育てられたミドフォード6姉妹1は社交界では有名でした。
姉ダイアナはイギリス・ファシスト同盟の指導者オズワルド・モズレー卿と再婚し、ベルリンでの結婚式にはヒトラーやゲッペルスが参列しました8。その縁でヴァルキリーはドイツの大学の語学学校に通い、ドイツのハイソサエティに出入りし、映画『イングリッシュ・ペイシェント』のモデルとなったアルマーシュ伯爵の城の常連客になっています。「ウルフ(アドルフ)」「キッド(ヴァルキリー)」とニックネームで呼び合うヒトラーと物怖じせず話し、月に2~3回はヒトラーの社交に伴われ婚約者とも噂されました。正反対の日陰の存在であったエヴァ・ブラウンは日記に嫉妬心を記しています。
ヴァルキリーの祖父は一貫して噂を否定していましたし、ヒトラー周辺の関係者も後に肉体関係は無かったと思うと証言している上、ヒトラー自身が「ドイツ人以外の女性は愛せない」「ドイツに身をささげており結婚する気はない」と発言しています。
ドイツとイギリスが戦争になったときにピストル自殺未遂し、その後遺症で1948年に34歳で亡くなりました。このオペラの主人公にちなみ、1944年のヒトラー暗殺計画には“ワルキューレ作戦”というコードネームがつけられていました。
-
34☞第2夜『ジークフリート』 (Siegfried )
35☞第3夜『神々の黄昏』 (Götterdämmerung )
- ジークフリート(テノール) 『ニーベルンゲンの歌』の英雄、ジークムントとジークリンデの子。
- グンター(バリトン) ライン河畔のギービヒ家の当主。『ニーベルンゲンの歌』のブルグント王国の一族。
- ハーゲン(バス) アルベリヒが人間の女に生ませた息子。グンターとは異父弟。
- アルベリヒ(バス) ニーベルング族の小人。
- ブリュンヒルデ(ソプラノ) ヴォータンの娘。ジークフリートの妻。
- グートルーネ(ソプラノ) グンターの妹。
- ヴァルトラウテ(アルト) ヴァルキューレ。ブリュンヒルデの妹。
- 3人のノルン 「運命の女神」三姉妹。エルダの娘。ギリシア神話のモイラ、ローマ神話のパルカに相当する。(アルト、メゾソプラノ、ソプラノ)過去:『ラインの黄金』以前、現在:『ジークフリード』でヴォーダンの槍が叩き割られたこと、未来:世界終末を、序幕で語ります。
- 3人のラインの乙女
- ヴォークリンデ(ソプラノ)
- ヴェルグンデ(メゾソプラノ)
- フロースヒルデ(アルト)
- ギービヒ家の兵士たち(男声合唱)1
07☞『パルジファル』 (Parsifal)
- バイエルン国王ルートヴィヒ2世のために書いたワーグナー最後のオペラ。ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハの叙事詩『パルチヴァール』に基づいており[9]、中世(10世紀ごろ)スペインのモンサルヴァート城を舞台とします1。『パルチヴァール』には、ローエングリンの物語も紹介されており、ワーグナー『ローエングリン』3幕では、ローエングリン自身がモンサルヴァート城のパルチヴァールの息子であると名乗る場面があります9。
-
フランスの作家ジュリアン・グラック(Julien Gracq, 1910年 – 2007年)はこの作品に触発されて小説『アルゴールの城にて』(Au château d’Argol, 1938年)と戯曲『漁夫王』(Le roi Pêcheur, 1948年)を書きました[2]。
全4時間半。初演時ワーグナー自身が雰囲気を壊さないよう拍手はしないで欲しいと求めたことから、現在でも1幕の拍手がなかったりカーテンコールがなかったりする習慣が続いているそうです。
舞台を中東に移したウヴェ・エリック・ラウフェンベルクの演出が評判です10,11。
イエスが十字架にかけられた際、イエスを刺した槍は、刺したローマ兵の名をとって「ロンギヌスの槍」とよばれ聖槍(せいそう)とされます。
↓メトロポリタン歌劇場アーカイブより
その他の舞台作品
オペラ
- 08☞婚礼 WWV.31(2つの断片のみ現存)
- 09☞妖精 WWV.32
- 10☞恋愛禁制、またはパレルモの修道女 WWV.38
- 貴き花嫁 WWV.40(未完)この作品は台本のみで作曲はしなかったが、ボヘミアの作曲家ヤン・ベドルジフ・キットル(ヨハン・フリードリヒ・キットル)が歌劇『ビアンカとジュゼッペ、あるいはニースに攻め寄せるフランス軍』として完成させた。[1]
- 12☞リエンツィ、最後の護民官 WWV.49
- 13☞サラセンの女 WWV.66(未完)
- 14☞ファールの鉱山 WWV.67(未完)
- 15☞フリードリヒ1世 WWV.76(未完)
- 16☞ナザレのイエス WWV.80(未完)
- 17☞アキレウス WWV.81(未完)
- 18☞鍛冶屋のヴィーラント WWV.82(未完)
- 19☞勝利者たち WWV.89(未完)
劇付随音楽
- 20☞ロイバルト WWV.1(未完)
- 21☞新しい年1835年を迎えて WWV.36
- 22☞プロイセンにおける異教徒の最後の陰謀 WWV.41(断片)
その他
- 23☞牧歌劇 WWV.6(未完)
- 24☞喜歌劇 女の浅知恵に勝る男の知恵 WWV.48(断片)
- 25☞1幕の喜劇 WWV.100(未完)
- 26☞喜劇 降伏 WWV.102(未完)
交響曲、管弦楽曲その他の作品
交響曲
- 27☞交響曲 ハ長調 WWV.29
- 28☞交響曲 ホ長調 WWV.35(未完)(第1楽章のみ完成、第2楽章冒頭まで作曲、以降未完)
- 29☞複数の交響曲 WWV.78(未完)
管弦楽曲
- 30☞序曲『太鼓連打』 WWV.10(消失?)
- 政治的序曲 WWV.11(消失)
- 序曲『メッシーナの花嫁』 WWV.12(消失)(シラーの戯曲のため)
- 33☞管弦楽曲 ホ短調 WWV.13(断片)
- 序曲 ハ長調 WWV.14(消失)
- 序曲 変ホ長調 WWV.17(消失)
- 36☞演奏会用序曲第1番 ニ短調 WWV.20
- 37☞演奏会用序曲第2番 ハ長調 WWV.27
- 38☞ラウパッハの悲劇『エンツィオ王』のための序曲と終曲 WWV.24
- 39☞2つの悲劇的間奏曲 WWV.25
- 40☞序曲『クリストフ・コロンブス』 WWV.37
- 41☞序曲『ポーランド』 WWV.39
- 42☞序曲『ルール・ブリタニア』 WWV.42
- 43☞ファウスト序曲 WWV.59
- 44☞ロメオとジュリエット WWV.98(未完)
- 45☞ジークフリート牧歌 WWV.103
- 46☞序曲と交響曲の主題と旋律 WWV.107
- 47☞アメリカ100年祭大行進曲 WWV.110
室内楽曲
- 弦楽四重奏曲 ニ長調 WWV.4(消失)
- 49☞クラリネットと弦楽五重奏のためのアダージョ(偽作=ベールマン作)
ピアノ曲
- ピアノ・ソナタ ニ短調 WWV.2(消失)
- ピアノ・ソナタ ヘ短調 WWV.5(消失)
- 4手のためのピアノ・ソナタ 変ロ長調 WWV.16(消失)
- 53☞ピアノ・ソナタ 変ロ長調 WWV.21 Op.1
- 54☞ピアノの為の幻想曲 WWV.22 Op.3 – 1831年作曲
- 55☞大ソナタ イ長調 WWV.26 Op.4
- 56☞ポルカ ト長調 WWV.84
- 57☞ピアノ独奏曲「チューリヒの恋人」 WWV.88 – 1854年作曲
声楽曲
- アリア WWV.3(消失)、シェーナとアリア WWV.28(消失)
- 60☞わが眼差しの行方は WWV.33(マルシュナーの歌劇「吸血鬼」のアリアの追加)
合唱曲
- 61☞民衆讃歌「ニコライ」WWV.44
- 62☞陽は昇る WWV.68
- 63☞使徒の愛餐 WWV.69
- 64☞ウェーバーの墓前にて WWV.72
- 65☞皇帝行進曲 WWV.104
- 66☞子供たちの問答 WWV.106
- 67☞急げ、急げ、子供たち WWV.113
歌曲
- 68☞歌曲集のスケッチ WWV.7
- 69☞ゲーテの「ファウスト」の7つの小品 WWV.15
- 鐘の響き WWV.30(消失)
- 71☞樅の木 WWV.50
- 72☞眠れ、わが子 WWV.53
- 73☞法悦 WWV.54(断片のみ)
- 74☞君を待つ WWV.55
- 75☞墓がバラにささやいた WWV.56(断片)
- 76☞全ては束の間の幻 WWV.58
- 77☞ヴェーゼンドンク歌曲集 WWV.91
- 78☞神の御心は定めたもう WWV.92(草稿)
編曲
- 79☞ベートーヴェン 『交響曲第9番』合唱の編曲 WWV.9
- 80☞グルック 歌劇『アウリスのイフィゲニア』序曲の演奏会用コーダの補作 WWV.87
- 81☞ヨハン・シュトラウス2世 ワルツ『酒、女、歌』の管弦楽変更 WWV.109
- 82☞ドニゼッティ 歌劇『愛の妙薬』のピアノ用編曲
著作
- 83☞『ドイツのオペラ』1834年
- 84☞『ベートーヴェンまいり』1840年
- 85☞『音楽におけるユダヤ性』1850年
- 86☞『オペラとドラマ』1851年
- 87☞『ベートーヴェン—第九交響曲とドイツ音楽の精神』
- 88☞『指揮について』1870年
- 89☞『楽劇名称論』1872年
- 90☞『作詞作曲論』1879年
- 91☞『歌劇作詞作曲各論』1879年
- 92☞『戯曲への音楽応用論』1879年
- 93☞『1880年序説』1879年
- 94☞『宗教と芸術』1880年
- 95☞『人間性における女性的なものについて』(未完)1883年
-
日本語訳
- ☞『芸術と革命 他4篇』 北村義男訳、岩波文庫、1953年
- ☞『わが生涯』 山田ゆり訳 勁草書房 1986年
- ☞『ワーグナー著作集』 三光長治監修 第三文明社、1990-1998年
- 1巻「ドイツのオペラ」、3巻「オペラとドラマ」、5巻「宗教と芸術」のみ刊
- ☞『友人たちへの伝言』 三光長治監修 法政大学出版局、2012年
- 『芸術と革命』、『未来の芸術作品』、『未来の芸術家像』、『友人たちへの伝言』を収録
- 『ベートーヴェン』 三光長治監修 法政大学出版局、2018年
- 『ベートーヴェン』、『ヴィーベルンゲン』、『オペラの使命について』、『俳優と歌手について』ほかを収録
- ウィキペディア(日本語)タンホイザー
- ワーグナーが参考にしたものは 1838 年公刊のルーカス(Ch. Th. L. Lucas)『ヴァルトブルクの歌合戦』
- ウィキペディア(日本語)ルードヴィヒ(2012年の映画)
- McIntosh, Christopher. The Swan King: Ludwig II of Bavaria. (1982)
- Wikipedia(English)
- Wikipedia(English)Josef Kainz
- Wikipedia(English)Ludwig II of Bavaria
- アンナ・マリア ジークムント著『ナチスの女たち―第三帝国への飛翔』西上潔訳、東洋書林、2009年(平成21年)
- ヴォルフラム・フォン・エッシェンバッハ『パルチヴァール』(加倉井粛之、伊東泰治、馬場勝弥、小栗友一訳) 郁文堂 1974年 ISBN 4-261-07118-5;改訂第5刷 1998年、427頁下- 430頁下。なお、ローエングリン (アーサー王伝説)参照
If you must die, die well みっちのブログ>バイロイトに実に久しぶりに意欲作が登場、「パルジファル」2016年7月25日プレミア公演放映を観て、大いに感銘を受ける、の巻。(愉)- 毎日新聞>読み替え演出の難しさ~2017バイロイト音楽祭リポート②「パルジファル」
2017年9月21日 13時30分
コメント