『THE TUDERS』Season4

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『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』Season4

THE TUDORS〜背徳の王冠〜1(2007~2010年)アメリカ・カナダ・アイルランド・イギリス合作。
(サイト内リンク)『THE TUDORS〜背徳の王冠〜』Season1Season2Season3

シーズン4 ( )は原題と訳

第1話 恵みの雨 (Moment of Nostalgia 追憶の時)

キャサリン・ハワード

キャサリン・ハワード2は、ヘンリー8世王の5番目の妃。アン・ブーリンと祖父を同じくする従妹。ジェーン・シーモアと曾祖母を同じくするはとこ。アン・オブ・クレーヴスの侍女でしたが、ヘンリー8世(49歳)に見初められ、16歳で結婚しました。
➤遠縁のアグネス・ティルニー(レノックス侯爵未亡人)の元に預けられましたが、礼儀正しくしつけられたとはいえない状況だったようです。侍女となった当時の友人ジェーン・ブルマーが、キャサリンの過去のデレハムとの恋愛を暴露しスキャンダルの発端になりました。
➤ヘンリー王の侍従トマス・カルペパーへ宛てたラブ・レターを証拠として、手引きをしたとされるロッチフォード夫人と共に処刑されますが、肉体関係があったかどうかは定かではありません。処刑前のスピーチは「王妃としてよりもトマス・カルペパーの妻として死にたい」だったとの逸話があります。

(サイト内リンク)『悪しき遺産The Boleyn Inheritance
アン・オブ・クレーヴス、キャサリン・ハワード、ロッチフォード夫人3人視点で交互に宮廷を描きます。
五番目の王妃シリーズ  Ford Madox Ford (原著), 高津 昌宏 (翻訳)
1いかにして宮廷に来たりしか 2王璽尚書 最後の賭け 3戴冠
カトリック教徒としてのキャサリン・ハワードを題材にした長編小説

第2話 誘惑の香り (Sister 妹)

ガーター騎士団

ガーター騎士団2はアーサー王伝説にならい、対フランスとの戦争に際して王と騎士の団結のためのグループを構成する目的で、エドワード3世により設立されたといわれています。

ガーターとの名前について次のような逸話があるそうです。
エドワード3世が舞踏会でソールズベリー伯爵夫人(後のエドワード黒太子妃)とダンスを踊っていたとき、伯爵夫人の靴下止め(ガーター)が外れて落ち周囲から嘲笑されました。しかしエドワード3世はそれを拾い上げ「悪意を抱く者に災いあれ(Honi soit qui mal y pense)」と言って自分の左足に付けたというものです[17][18]

アーサー王伝説2は、もともとローマ時代のブリテンの史実とケルトの伝説が混合して語り継がれてきたもので、中世の騎士道物語を取り入れ、15世紀のイングランド人マロリー2により『アーサー王と彼の高貴なる円卓の騎士(The Whole Book of King Arthur and of His Noble Knights of the Round Table)』)としてまとめらました。

騎士道は16世紀には過去のものとなっていましたが、ノスタルジックなイメージを喚起させたようです。
ヘンリー7世8世は、団結してローマの支配から独立したアーサー王をチューダー朝の先祖とイメージさせることにより、ウェールズ、スコットランド、アイルランドに対しての優越性を保とうとしました。ヘンリー8世によって儀礼の定式化がすすめられ、24名に限定されることになりました。
更にエリザベス1世女王は、中世の貴婦人に対する忠誠というロマンスイメージをうまく利用し、男性社会において不利に働きかねない女性という属性を、国民的恋愛対象にまで高めたと分析もされています。2

Coat of Arms of Emperor of Japan as a stranger knight of the Order of the Garter

現在でも続くガーター勲章には、この文言が記されています。この文言は青い囲みに記されておりガーター勲章のことをブルーリボンという俗語で呼ぶこともあります。

現在は英国の最高勲章とされ、外国の王族にも授与されますが、日本は明治天皇以来3代の天皇が叙勲しています。ただ第二次世界大戦時、昭和天皇から一旦剥奪され、戦後に復帰した経緯もあります。
現在、非キリスト教国としては日本の平成の明仁天皇のみで、バナー(旗)や紋章には王冠でなく皇室の16弁菊文があしらわれています2

第3話 密会 (Something for You 何かをあなたへ)

サマセット公エドエワード・シーモアの妻

エドワード・シーモアには2人の妻がいましたが、ドラマでは統合されています。

最初の妻キャサリン・フィロール(20歳)3とは27歳の時に結婚しました。奔放な女性であったらしく二人の息子の父は、エドワードの父ジョン・シーモア卿ではないかと疑われています。ジョン・シーモア卿の資産で修道院に入ったらしいことを根拠にしています。
息子たちは父がロンドン塔に投獄された時も一緒に投獄されました。
二番目の妻アンは、宮廷で勢力を持ちました。アンの息子が父の相続人となりましたが、後世、その系列は絶え、キャサリン系列の子孫が現在のサマセット公です。

キャサリン出生の息子の父親が疑われるということで、アンの息子に相続したとされているけれど、自分の息子に爵位が正当に相続できるようアンが工作したとも考えたくなるね。

二番目の妻アン・スタンホープ(25歳頃)4とは、35歳頃に結婚しました。

ドラマでは、エドワードの妻はアンという名で登場しますが、男性関係が派手な病死はキャサリンを投影しているようです。なお、1941年頃にアンは女児を出産していますが、トマスという名前の男児はいません。

第4話 暗転 (Natural Ally 自然な結びつき)

ジェームズ5世

ジェームズ5世2は、ヘンリー8世の甥(スコットランド王妃であった姉の息子)にあたるスコットランド王です。

1537年 ジェームズ5世、マリー・ド・ギースと結婚
1540年07月 ヘンリー8世、キャサリン・ハワードと結婚
1541年10月18日 マーガレット・チューダー(ヘンリー姉、ジェームズ母)死去
1541年11月1日 ヘンリー8世に密告の手紙
1541年11月23日 キャサリン・ハワード女王位剥奪
1542年11月24日 ジェームズ5世王、イングランド侵攻2
1542年12月8日 ジェームズ5世王妃、女児出産(のちのメアリー女王)
1542年12月14日 ジェームズ5世死去
1543年7月1日 スコットランド政府(代表アラン伯)グリニッジ条約(イングランドによるメアリー女王の庇護およびエドワード王子との婚約)2締結
1543年7月12日 ヘンリー8世、キャサリン・パーと結婚
1543年12月15日 スコットランド議会、グリニッジ条約を放棄
1543年12月20日 ヘンリー8世王、スコットランドに宣戦布告5
1544年 ヘンリ8世、カール5世と同盟し対フランス戦争

第5話 散りゆく花 (Bottom of the Pot ポットの底)

フランス王フランソワ1世

フランス王フランソワ1世(1491ー1547)2は、スペイン王および神聖ローマ皇帝カール5世(1500-1551)と敵対していました。両者は、イングランド王ヘンリー8世(1491-1547)を味方にすることによって、相手より優位にたとうとしていました。ヘンリー8世は生涯にわたり、振り回されましたが、逆に同盟を繰り返し外交戦略に利用しようともしました。

フランソワ1世の二度目の妃レオノーラ2は、カール5世の姉、ヘンリー8世の最初の妃はカール5世の叔母でした。

文学、芸術、女性を愛し放蕩する点や年齢などでフランソワとヘンリーは似た部分があり、互いに意識していた可能性はあります。キャサリン・ハワードのスキャンダルの際には「男の名誉は女に左右されない」との手紙を送ったという逸話がドラマにも描かれています。

ヴィクトル・ユゴーの『王は踊る』のモデルとされており、それを元に主人公を別人に変えて作られたオペラがヴェルディの『リゴレット』です。かなり女好きで身勝手な人物に描かれています。

(サイト内リンク)ウェルディのオペラ>リゴレット

第6話 老境の恋 (You Have My Permission 許しを与えます)

キャサリン・パー

キャサリン・パー2
はへンリー8世の6番目にして最後の妃です。31歳で51歳の王と3度目の結婚。前の二度の結婚も夫と死別していますが、4年後にヘンリー王と死別しました。その後は、ヘンリー王の婚前に交際していたと言われているトマス・シーモアと再婚しました。

(サイト内リンク)The Taming of the Queen フィリッパ・グレゴリー
彼女はまた、自分自身の名前で最初に本に出版した女性とも言えます。

第7話 フランス遠征 (Sixth and the Final Wife 6番目にして最後の妻)

※2010年エミー賞・美術賞受賞 2010年ゴールデンリール賞・音響編集賞受賞

昔、戦場に出た時はーー槍で敵とやり合ったもんだ。だがーー今度は違う。銃だ。

絶対王政王の最後の妃

➤フランスでも絶対王政時代の太陽王と言われるルイ14世王2(46歳)が、最後の妃として、教養があり自分の介護と子供の世話ができる女性マントノン夫人(49歳)6を選んだ例があります。ただし、秘密結婚による結婚で正式の女王にならなかったようですが、政治的には発言力があったそうです。30年以上添い遂げ、夫王が亡くなった4年後に妻も83歳で亡くなりました。
➤ルイ14世王の72年もの在位期間はフランス史上最長で「中世以後の国家元首として最長の在位期間を持つ人物」としてギネス世界記録にも認定されています。

無冠の王妃マントノン夫人―ルイ十四世正室の回想〈上〉 (中公文庫BIBLIO) 2007/5/1, Francoise Chandernagor (原著), 二宮 フサ (翻訳)5つ星のうち4.6(3個の評価中)
➤最初の夫スカロンは「私は迷信を信じない」と言い新居のために黄色い布地を買いました。黄色はコキュ(寝取られ男)の色とされていたそうです。
“事実、人はいったん愛さなくなると、かつて愛したことに、もはや満足感を見出さない、ちょうど乾きが癒された後の、飲んだ記憶のように。”

無冠の王妃マントノン夫人―ルイ十四世正室の回想〈下〉 (中公文庫BIBLIO) 2007/6/1, Francoise Chandernagor (原著), 二宮 フサ (翻訳)5つ星のうち4.0(1個の評価中)
教育とは長い忍耐であり、早くあらわれないものも後になって表れうるが、やり方を心得、かつ適切な時期にやりさえすれば、悪い素質というものは存在しないのである。(中略)私があらゆる子供に適応できる絶対的な原則とみなしたものがある。子供育てるには優しさが必要である。ということと、いかなる場合にも道理が必要である、ということである。”
“彼は毎日八時間以上を国務に捧げていた。” 「官僚王」と呼ばれるほど非常に政務に精励で[153]、サン=シモン公は回想録で「ルイ14世は秩序と規律を望んだ」と述べています。[163]
➤王の弟オルレアン公の娘ベリー公妃ルイーズは、20歳そこそこで莫大な財産のある未亡人となり奔放で名をはせました。夫の死後も子を産み、父と関係があるとさえ言われていました。マントノン妃は王の庶子達(メーヌ公やトゥールーズ伯)から相談を受けうんざりしていました。

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第8話 うたかたの勝利 (As It Should Be さもありなん)

※2010年エミー賞・衣装賞受賞 Hugh Latimer

英訳聖書

聖書の原典はヘブライ語、アラム語、ギリシア語であったと考えられますが、写本以外は現存していません2。カトリックでは聖書はラテン語であるべきで、キリスト教を深く学んでいない庶民が好き放題に勝手な解釈をせず、聖職者から教えられねばならないと、考えられていました。それに対し、ルター2にはじまる宗教改革により、献金による地位の獲得や免罪符販売などカトリックの聖職者の腐敗部分に反対し、聖職者を通してではなく人々が自分自身で神や聖書と向き合うべきと考える人も出てきました。

ルターは聖書のドイツ語訳に取り組みました。ドイツ近隣のプロテスタントの国々で識字率が上がり庶民の教育レベルを押し上げました。さらには、労働者レベルでも文字によるマニュアルや伝達ができることで、職人組合の技術レベルの向上、産業革命などの波にのり経済も発展しました。現在にもつながる経済大国はプロテスタントの影響を受けている国が少なくありません7ウィリアム・ティンダル8は、プロテスタントの思想を人々に説きました。キャサリン・パー女王やその妹、チャールズ・ブランドン夫人キャサリン・ウィロビーなどを異端として排除しようとするカトリックのガードナー司教、リズリー卿に拷問されました。

第10話 命果てるとも (Death of a Monarchy 君主の死)

チューダーズ Season4 登場人物

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  1. ウィキペディア(日本語)THE TUDORS〜背徳の王冠〜
  2. ウィキペディア(日本語)キャサリン・ハワード
  3. Wikipedia(English)Catherine Fillol
  4. Wikipedia(English)Anne Seymour, Duchess of Somerset
  5. Wikipedia(English)Rough Wooing
  6. Wikipedia(English)Françoise d’Aubigné, Marquise de Maintenon
  7. ダイヤモンドオンライン>キャリア・スキル>ビジネスエリートの必須教養 世界5大宗教入門>2019.11.25プロテスタントの国のほうが「経済的にうまくいっている理由」山中俊之:著述家/芸術文化観光専門職大学教授[/note]。

    ヘンリー8世やクロムウェルがドイツ圏のクレーヴスから妃を迎えようとしたのも経済的な援助を期待してのことでした。ドラマでは、クレーヴスのアンがシックながら豪華な衣装やアクセサリーで登場します。
    エジプト、ローマ時代から連綿とした金本位制の流れや、南米開拓による金の強奪などからスペインは金で潤いました。反対に、欧州の銀鉱はドイツやオーストリアが多く、銀が流通していました。
    ドラマで、スペイン出身のキャサリン・オブ・アラゴンの金を中心とした装飾品と、アン・オヴ・クレーヴスの銀を中心とした装飾品と、豪華さの種類の違いを比較する楽しみ方もありますね。

    最初の聖書の英語への完訳は14世紀頃の英学者によります2Wikipedia(English)Bible translations into English

  8. ウィキペディア(日本語)ウィリアム・ティンダル[/note]は宗教改革者として英訳の聖書を出版し、カトリックから離脱して英国国教会を設立したヘンリー8世は、英訳聖書を誰でも見られるよう教会に備え付けさせました。ただ、ティンダルはヘンリー8世の離婚に反対し不興を買い、亡命先で処刑されました。メアリー1世女王の時代はカトリック回帰しましたが、エリザベス1世時代を経て、ジェームズ1世が、英国国教会の英語聖書を改めて翻訳させました。「欽定訳聖書」と言われ、オクスフォード大、ケンブリッジ大、ウェストミンスターの学者など50人もの翻訳者グループにより作成され、現代の英語聖書の源流となっています。諸教派が共有できる聖書を目指したために、注釈を一切つけない(議論の元になってしまうため)という特徴があります。

    勝手な思い上がりで聖職者を断罪するなど思い上がりだ。自ら聖書を読むのは構わぬが神の教えを糧としてよりよき人間になるためだ。他人を裁くためではない。(ドラマよりヘンリー8世のセリフ)

    (サイト内リンク)ドラマ『高い城の男』はナチスが世界を支配している設定ですが、ナチは旧約聖書をはじめユダヤ関係を部分を削除した聖書を利用しました。主人公は禁書である「欽定訳聖書」を手にする場面があります。

    第9話 誇り高き男 (Secrets of the Heart 心の奥の秘密)

    アン・アスキュー

    アン・アスキュー2Wikipedia(English)Anne Askew

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