エスノグラフィ、UX、マーケットイン

エスノグラフィ（ethnography）は、フィールドワークにもとづいて人間社会の現象の質的説明を表現する記述の一種。日本語では民族誌¹、民族誌学とも言われます。英語の ethnography は、ギリシア語のethnos＝国民・民族と、graphein＝記述に由来します。

文化人類学や社会学では、対象とする民族の文化における特徴を調査するため、研究者がその中で一緒に暮らすなど行動をともにし、集団の内側から観察、記録する¹参与観察¹などの手法が使われます。

産業界でも新製品や新サービスを検討する際、エスノグラフィーの調査を行うように、ユーザーの経験を追体験するアプローチでユーザーの視点にたつ考え方をUX（User Experience）¹といいます。関連する概念には、ユーザー中心設計（UCD；User-centered design）¹、人間中心設計（HCD；Human Centered Design）²などがあります。

2010年以降、企業側の技術や理論を優先して製品を開発するプロダクトアウト（product out）的な発想だけでなく、顧客のニーズに対応してマーケティング戦略を行うマーケットイン（marcket in）的な発想の両立が必要との考えられるようになってきたことも、背景にあるかもしれません。³

人間中心設計機構¹では、（株）日立製作所 ITプラットフォーム製品事業部でのUXリード人財育成と組織変革プログラムを推奨事例としている他⁴、優秀事例を表彰しています。

UXの可視化手法の代表例には下記のようなものがあります。⁵

利用状況の理解と明確化（ペルソナ法、行動シナリオ）
デザインによる解決策の作成（カスタマージャーニーマップ、サービスブループリント）
評価（プロトタイプ、ストーリーテリング）

サービスブループリント⁶は、最初、1894年にハーバードビジネスレビューで紹介されました。その後さまざまにアレンジされています。

ワークフロー図（やアクティビティ図）とよく似ていますが、下記の４点のレーンにわけるところが特徴的です。

Customer Actions: 顧客の行動
Front-stage (Visible Contact Employee)Avtions直接的にコンタクトする従業員の行動
Back-stage (Invisible Contact Employee) Actions: 間接的にコンタクトする従業員の行動（電話予約受付など）
Support Processes: 顧客にサービスを提供するためのサポート（システムなど）

その他、下記のようなファクターも加えられることもあります。⁷