『アダムとイブの日記』マーク・トウェイン

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アダムとイブの日記

アダムとイヴの日記 (河出文庫) Mark Twain , 大久保 博 (翻訳) 5つ星のうち3.9/ 31個の評価

旧約聖書に登場するアダムとイブが日記をつけていた!

キリスト教ではエデンの園に神によって創られたアダムとしてイブが登場し、人間の事始めとシステム設定されています。アダムとイブの寓話にはミソジニー(女性憎悪)的な要素があると考える人もいます1が、この作品は、アダムの立場・イブの立場からの視点でそのシステムが語られています。

子供向けの物語『トム・ソーヤーの冒険2』『ハックルベリー・フィンの冒険2』で知られるマーク・トウェイン(1835-1940)23が大人向けに書いた中編。『アダムの日記抄』と『イブの日記』の合本です。

マーク・トウェインには早世した子の他、Susy (1872–1896 24歳没), Clara (1874–1962 88歳没4),Jean (1880–1909 29歳没)等の子があり、
『トム・ソーヤーの冒険』が出版された1876年(マーク・トウェイン41歳)は4歳、2歳、
『ハックリベリー・フィンの冒険』が出版された1885年(マーク・トウェイン50歳)は14歳、11歳、5歳でした。

アダムの日記抄(Extracts Adam’s Diary)

マーク・トウェインは1852年頃から旧約聖書のアダムに興味をよせていたそうです。『アダムの日記抄』は当初1893年にニューヨーク州北部のナイアガラの滝観光拠点であるバッファーロー2で開催されたワールド・フェアで、土産物用に販売された「ナイアガラブック(The Niagara Book)」に収録されました。その後、1904年に単行本として出版されました。

イブの日記(Eve’s Diary)

妻の死直後の1904年9月頃着想され、執筆は翌年7月2日から4日間で完了し「ハーバーズ・マガジン」1905年12月のクリスマス号に掲載されました。翌1906年に画家のストロマンの挿絵入りの単行本として出版されると、裸体の挿画を理由にある地方図書館が出版を禁止しました。『トム・ソーヤの冒険』や『ハックリベリー・フィンの冒険』が青少年を毒するものとして公立図書館で禁止された経験があるマーク・トウェインは、取材に来た記者たちに、このように言ったそうです。

今度の問題は主として挿画にあると思う。あれは私が描いたのではない。私だったらよいのにと思っている。実に美しい画だからね(旺文社文庫版5大久保博解説より)

病気がちだった10歳年下の妻のオリヴィア・L・クレメンズ2が1904年に56歳で亡くなる前は、神経が高ぶらないよう、しばらく夫から距離を置くことを医者に勧められていました。でも、マーク・トウェインはその禁を破りラブレターやキスを交わすため、しばしば秘密裡に彼女に合いに行ったそうです。

advised to keep a distance from her husband in order to keep from getting overexcite6, went months without seeing him. However, Twain frequently broke the rule and secretly saw her in order to exchange love letters and kisses.7

アダムの日記とイブの日記の順やエピソードの挿入箇所等、日本語版と少し違いがありますが、英語版8も出版されています。

this kind of love is not a product of reasoning and statistics, like one’s love for other reptiles and animals.

この種の、ラプトル(爬虫類2)や動物に抱く愛は、理論や統計の産物ではないのだ。

アダム(月曜日)
私たち?はて、どこでこんな言葉を覚えたのだろう?ああ、そうだ–あの新しい生き物が使っている言葉だ。
アダム(土曜日)
またしても「私たち」だ。–これはあの生きもの言葉だ。ところだ今では私の言葉にもなってしまった。何度も何度も聞いていたからだ。
どんな天候の中でも出歩き、泥だらけの足でドシンドシンと入ってくる。そしてペチャクチャ話をする。以前はここも実に楽しく、静かな場所だったのに。

イブ(次の週の日曜日)
わたしばかりおしゃべりをしなければならなかった。というのも、彼は恥ずかしがりやだったからだ。
わたしも親しみやすい「わたしたち」という言葉を大いに使ってやった。なぜって、彼には得意に思えるらしいからだ。自分がその中に入れてもらえるということがだ。

アダム(月曜日)
ウィークデーが何のためにあるのか、やっとわかった。日曜日の疲れから体をやすめるように暇をくれるためだ。これはまざに名案のような気がする。
釈明という言葉が彼女の賞賛をかきたてた。–それに羨望さえもかきたてた、と私は思った。釈明とはなかなかいい言葉だ。
イブ(月曜日)
彼はほとんど口をきかないけれども、かなり沢山の言葉は知っている。今朝なぞ、びっくりするほどうまい言葉を使った。どうやら自分でもうまい言葉だと気がついていたようだ。なぜなら、それから後で、二回もその言葉を話しの中に入れて使ったからだ。それもさり気ない調子でだ。

アダムとイブの楽園追放されたけど… 宮崎夏次系 (著) 全2巻 | 全4話

 

  1. 失敗だらけの人類史 英雄たちの残念な決断 (ビジュアル讀本) 単行本(ソフトカバー) – 2018/1/18 ステファン・ウェイア (著), ナショナル ジオグラフィック (編集), 定木大介 (翻訳), & 1 その他
  2. ウィキペディア(日本語)
  3. Wikipedia(English)Mark Twain bibliography
  4. “Mrs. Jacques Samossoud Dies; Mark Twain’s Last Living Child; Released ‘Letters From Earth'”. New York Times. November 21, 1962. San Diego, Nov. 20 (UPI) Mrs. Clara Langhorne Clemens Samossoud, the last living child of Mark Twain, died last night in Sharp Memorial Hospital. She was 88 years old.”
  5. アダムとイヴの日記 (旺文社文庫 568-3) 1976/1マーク・トウェイン (著), Mark Twain (原著), 大久保 博 (翻訳)
  6. 研究社 新英和中辞典
  7. Wikipedia(English)Olivia Langdon Clemens
  8. The Illustrated Diary of Adam and Eve (English Edition)Mark Twain (著)

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