システムとメカニズムとアルゴリズムの違い

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システムとメカニズムの違い

【システム】1

システム(system)は、相互に影響を及ぼしあう要素から構成される、まとまりや仕組みの全体

「組み立てた物」を意味する古代ギリシア語「σύστημα」(スュステーマ)を語源にもつ。この「σύστημα」は同じくギリシア語の 「συνίστημι」(スュニステーミ)「組み立てる」を元に作られた語句であるが、 これは「共に」を意味する「σύν」(スュン)と「立てる」を意味する「ἵστημι」(ヒステーミ)を組み合わせた動詞である。

【メカニズム】1 (英: mechanism)

広辞苑によると 英語で「機械装置」、「機構」、「仕組み」等を意味する外来語である。2

システムは、しくみ全体を示し、それを動かす装置のことをメカニズムというのかな?

両方の用語が使われている論文例

  • 「日本企業のネットワークと信頼」3

組織内・組織間のネットワークのメカニズムの構造特性が企業行動や企業間システムのあり方に強く影響する

サプライヤーシステム毎の個別の構造解析とメカニズム分析を行う

  • 「1次元多都市システムにおける人口集積パターの創発メカニズム」 4

都市システムで観測される多様な空間的パターンの形成メカニズム

  • 「マルチエージェントシステムにおける群戦略の生成・適応メカニズムに関する研究 : 免疫クローン選択形群ロボットシステムによる群戦略の最適化」 5

本論文では、動的環境下での群ロボットシステムの群戦略の生成、最適化をはかるために免疫システム形の群ロボットシステムおよびそのアルゴリズムを提案した。このアルゴリズムの特徴は免疫のクローン増殖を元にした「戦略複製」メカニズムである。

これら両方の言葉が出てくる論文では、既に構築されたしくみがシステムで、その一部分の働き(behavior;ふるまい)をメカニズムとしているようです。

【アルゴリズム】1  (英: algorithm [ˈælgəˌrɪðəm])

「アルゴリズム」という名称は、現在のイラクのバグダードにおける9世紀の数学者アル・フワーリズミー6の名前から来ているといわれている。彼がインド数学を紹介した著作『インドの数の計算法』(825年)が、12世紀にチェスターのロバート(あるいはバースのアデラード)によってラテン語に翻訳され、『algoritmi de numero Indorum アルゴリトミ・デ・ヌーメロ・インドルム』(直訳すると「インドの数におけるアルゴリトミ」)という題で、以後500年間にわたってヨーロッパ各国の大学で数学の主要な教科書として用いられた。この書は、冒頭に「algoritmi dicti(アル・フワリズミーに曰く)」という一節があるので『algoritmi(アルゴリトミ)』と呼ばれていた。

現在では「計算モデル1(計算・推論・証明)によって『計算可能なもの』を計算する手続き」をアルゴリズムと呼ぶ。計算モデルは「model of computation」の英訳で、コンピュータで計算できるものとの印象をうける。数理モデル1(mathematical model)などとも呼ばれ、数学によって記述されたものである。数理モデル(すうりモデル、mathematical model)とは、通常は、時間変化する現象の計測可能な主要な指標の動きを模倣する、微分方程式などの数学の言葉で記述したモデルのこと。

福井工業高等専門学校 電気電子工学科 米田先生は、

計算機がどの演算を行うのかを指定しなくてはなりません。言い換えると、仕事をどのようにして行うのかを記述しなければないません。このような記述のことをアルゴリズム(algorithm)といいます。アルゴリズムとは、仕事を行う処理手順を1ステップずつ順に並べたもので、それらがまとまって1つの問題の解法を作ります。アルゴリズムは一連のステップからなっていて、それぞれを忠実に成し遂げることによって、仕事、すなわち一つの処理(プロセス、process)を達成することが出来ます。一般に、アルゴリズムのことを問題の処理手順という意味で解釈されています。7

と説明しており、演算だけでなくその手順をアルゴリズムと解説されています。なので、アルゴリズムはフローチャート1で表現されるのですね。

全体のしくみであるシステムの全部または一部を動かすしくみがメカニズムで、その定義や計算の順番を表現したものがアルゴリズムと考えればいいのかな?


  1. ウィキペディア(日本語版)
  2. 『広辞苑(第6版)』、2759頁。
  3. 若林直樹,日本企業のネットワークと信頼,京都大学,平成19年
  4. 赤松隆他,1次元多都市システムにおける人口集積パターの創発メカニズム,土木学会論文集Vol.66,No.4,442-460,2010.11
  5. 日本機械学会論文集 C編,61 巻 (1995) 586 号,マルチエージェントシステムにおける群戦略の生成・適応メカニズムに関する研究 : 免疫クローン選択形群ロボットシステムによる群戦略の最適化,光本 直樹, 福田 敏男, 新井 史人
  6. アラビア語: الخوارزمي‎, ラテン文字転写: al-Khwarizmi
  7. 独立行政法人 国立高等専門学校機構 福井工業高等専門学校 電気電子工学科 米田研究室

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