ロマノフ王朝の滅亡

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ロマノフ王朝の滅亡

『マチルダ 禁断の恋』(2017)
ロシア帝国最後の皇帝ニコライ2世1の皇太子時代の愛人でスター・バレリーナのマチルダ・クシェシンスカヤ2,3が、ニコライ2世とドイツのヘッセン公女アリックス4との結婚に悩む様子を描きます。映画では、ニコライはアリックスよりマチルダを愛していたという視点で描かれます。➤ニコライは、叔父セルゲイ大公の結婚式で出会ったビクトリア女王の孫アリックスと恋をしましたが、ニコライの両親アレクサンドル3世皇帝とマリア皇后は、ルター派キリスト教徒のアリックスを嫌いが、マチルダをお膳立てしたとか。
映画では、ニコライの結婚前にマリア皇后がマチルダをお払い箱にする様子に描かれていますが、アレクサンドル3世は、息子の責任は国を統治することと言い、マチルダに息子をよろしくと頼みます。一旦縁を切ろうとしたニキ(ニコライ)もマチルダに、彼女との結婚に向けて努力すると言いますが、マチルダが暴漢に襲われて死んだと思い込みアリックスと結婚します。
➤ボディンカ平原にて新皇帝戴冠を祝うイベントで民衆に配られる菓子には「パスチラ」が含まれました。ロシアの伝統的な甘い焼き菓子です。5映画では、イベントでの暴動と、モスクワでの新皇帝夫妻戴冠とが同時に描かれ、王冠が転がる様子が後のロマノフ王朝の終焉を暗示しているようです。
➤ニコライの母はマリア皇太后は、自分はもともと夫アレクサンドル3世の兄皇太子の婚約者であったのに、皇太子の死亡で無理やり弟と結婚させられたこと、夫も恋する人と無理やり別れさせられて自分と結婚したことを、息子に話します。➤ニコライ2世はと皇后アレクサンドラ(アリックス)や家族は、後のロシア革命時に銃殺され、ロシア帝国は終焉します。
➤皇后になったアレクサンドラはロシア正教に改宗しますが、姑であるマリア皇太后とは仲は悪かったそうです。後にラスプーチンを寵愛して国民に避難をあびた皇后です。
➤マチルダは、他の皇族セルゲイ大公に庇護を受けており、出産した息子の父は証明書にはセルゲイと書かれているそうです。ただ、マチルダは8歳若いニコライの従弟アンドレイ大公6とも交際しており、彼が息子を認知しました。子供の顔立ちはアンドレイに似ていたといます。後にロシア革命を逃れ亡命したアンドレイ大公と貴賤結婚し、パリでバレエ学校を開き仲むつまじくくらしました。アンドレイは77歳、マチルダその15年後に99歳で亡くなりました。ウラジミールと名付けられたプリンスは、母親マチルダの死後3年後の1974年に、子供のいないまま72歳で亡くなりました。

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サンストローク ロマノフ王朝の滅亡』(2014)7とーベル賞を受賞したロシアの作家イワン・ブニンによる『呪われた日』から着想を得た映画。
➤物語は、1920年11月のクリミアの捕虜収容所。数千人の白人将校が半島に残され、赤軍当局者によって彼らの運命が決められるのを待っています。ある中尉は、1907年に起こった劇的で短い恋愛の思い出を回想し、ロシア帝国がどのように崩壊し、誰が悪いのかを理解しようとします。革命を理解できない価値観で育ち、貴族を代弁するかのように彼が何度も繰り返すフレーズは「なぜこんなことに?」。
➤彼が出会う教会侍童の少年は、ダーウィンの種の起源について質問します。「中尉の先祖はサルだったの?ぼくの先祖も?神父様も?」「モスクワ人から金をぼったくる神父の先祖はサルかもな?」ダーウィンを読んだのか読んでないのか、恋愛に夢中になり上の空で答える中尉に対し「じゃあ、皇帝様の先祖も?皇后さまも?」と考え込む少年。既存の価値観を疑えない貴族と無邪気な庶民を対比させていますが、悲喜感情はどの階級やどの立場でも同じともとれます。
➤全編にわかって美しい映像が長々と冗長に続きますが、最後のシーンで全て回収されます。

フランス、イギリス、中国、朝鮮、そして日本で、貴族社会が崩壊した時にあらゆる貴族が口にしたセリフなんだろう。

 

  1. ニコライ2世Wikipedia(日本語)
  2. マチルダ ・クシェンスカヤ Wikipedia(日本語)
  3. Mathilde Kschessinska – Wikipedia
  4. Alexandra Feodorovna (Alix of Hesse) – Wikipedia
  5. パスチラ – Wikipedia
  6. Grand Duke Andrei Vladimirovich of Russia – Wikipedia
  7. Sunstroke (2014 film) – Wikipedia

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