ウルフ・ホール

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ウルフ・ホール

 

ウルフ・ホール 愛と欲望のイングランド 第1話 第2話 第3話 第4話
ヒラリー・マンテルの小説『ウルフ・ホール』および『罪人を召し出せ』に基づく、イギリスBBC制作ドラマ。第73回ゴールデン・グローブ賞作品賞ミニシリーズ・テレビ映画部門を受賞。日本では全4回に編集して放送。1
『ウルフ・ホール(上)(下)』、『罪人を召し出せ』、『鏡と光(上)(下)ブッカー賞・コスト賞受賞。ヒラリー マンテル (著), Hilary Mantel (原著), 宇佐川 晶子 翻訳)

貧しい出身を見下す上流階級の姿を、鍛冶屋出身で職を転々とした弁護士クロムウェルの視点で描きます。とはいえ、実際はクロムウェルの父は鍛冶屋のほか醸造所や宿屋を経営する成功した商人で、地元の名士でした。いわゆるジェントリー階級です。

私より低い出自のものにやっと出会えた(父は肉屋であったウルジー枢機卿)1

以前は金貸しだったが今は法律を作っている(キャサリン・オブ・アラゴン王妃)

正直な鍛冶屋のせがれを用いてなぜ悪い?(ヘンリー8世王)

ヘンリー8世は出自を関係なく寵愛しました。例えば、幼馴染の大親友チャールズ・ブランドンは一介の騎士の息子でしたが、小姓から5年で貴族第一位の侯爵になりました。アン・ブーリンの祖父は商売で財を成した平民でした。
そのことが、「旧勢力・プランタジネット系・出自主義・保守派・カトリック派」対「新勢力・非出自主義・革新派(プロテスタント系)・若年層」の対立を生みました。
ヘンリー8世の父ヘンリー7世が、長年の薔薇戦争に勝利してプランタジネット系を抑えてチューダー系の王となった経緯には、正当な嫡流長男子承継とはいえないものがあります。それだけに、プランタジネット系子孫を抹殺したり、男子後継者にこだわったり、チューダー系の存続に力が入っていました。

▶数カ国語を操り、文武両道優秀な青年であったヘンリー8世はには、カトリックに代表される旧態依然とした政治体制の非合的な部分を改革したいという思いがあったのかも?保守派が少なくない議会制で、なかなか構造改革がすすまない苛立ちは共感できる。若くして王位をついで周りは偉そうな旧体制からのオジサンばっかりで。
▶古女房のキャサリン・オブ・アラゴン妃は年上のスペイン王女で、大人の男へと成長した青年ヘンリーにとっては、カトリックや旧体制、自分を操ろうとする年長者の象徴に思えたんじゃないかな。母がいないヘンリーの母親がわりの姉さん女房に対する遅いこじらせ反抗期。
▶逆に、新たな愛人の、新興家系出身フランス帰りのプロテスタントを学ぶインテリギャルは、自分世代や改革の象徴。アン・ブーリンは結婚するまでは、とセックスを拒んでいたそうだけど、ヘンリーの頭の中はムラムラ衝動を抑える理性が構造改革と結びついて、過激なカトリック離反につながったのかな。

また、ビジネスを渡り歩いてきたクロムウェルが経済的な視点から見ていることを強調しています。

わかりませんか。世界は辺境の砦やホワイトホールから動くのではない。アントワープやフィレンツェ、リスボン、商船が西に向かって出航する場所です。城壁ではなく会計事務所からです。あなたの約束手形を書くペンからなのです。銀行家の友人や私は あなたの人生を破壊できるのです。

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  1. ウィキペディア(日本語)ウルフ・ホール(テレビドラマ)

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