被占領国とナチス・ドイツ41

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被占領国とナチス・ドイツ

フランス

01☞『サラの鍵』(2011)ドイツ占領下パリのユダヤ人に対するホロコーストから逃れた少女サラの人生を追う女性ジャーナリスト。
02☞『パリよ永遠に』(2014)占領軍が撤退する際のパリ破壊作戦を食い止めたパリ出身のスウェーデン外交官。
03☞『イングロリアス・バスターズ』(2009)ユダヤ・ハンターと言われるドイツ人に、ユダヤ系フランス人女性と、ユダヤ系アメリカ人チームが報復。
04☞戦略大作戦』(1970)フランスでの戦闘中、捕虜のドイツ軍大佐から聞き出した、銀行に預けられている金塊を強奪しようとする米軍のチーム。

イタリア

05☞ライフ・イズ・ビューティフル1(1997)北イタリアに駐留するナチス・ドイツにより強制収容所に送られた、ユダヤ系イタリア人のグイド、イタリア人教師の妻、6歳前後の息子の3人家族。ロベルト・ベニーニ監督、脚本、主演。カンヌ国際映画祭審査員グランプリ。アカデミー賞主演男優賞、作曲賞、外国語映画賞。

オーストリア

07☞サウンド・オブ・ミュージック』(1965)2ドイツによるオーストリア併合を逃れてアメリカに亡命したゲオルク・フォン・トラップ大佐家族の合唱団。ジュリー・アンドリュース主演。アカデミー賞作品賞、監督賞、編集賞、編曲賞、録音賞。音楽はリチャード・ロジャースとオスカー・ハマースタイン二世。
06☞ミケランジェロの暗号(2011)ドイツのオーストリア併合時にミケランジェロの原画を隠した画商家族と、家族同然に育ったドイツ人の青年。
35☞『愛の嵐』(1974)3ルキノ・ヴィスコンティが絶賛したと言われる、リリアーナ・カヴァーニ監督4(谷崎潤一郎原作『卍/ベルリン・アフェア』、聖人を題材とした『フランチェスコ』、パトリシア・ハイスミス原作『リプリーズ・ゲーム』など)のイタリア映画。
1957年ウィーンの架空のホテル・オペラで、素性を隠して働く元ナチス親衛隊将校と、元収容所の少女の倒錯した愛の行方を描きます。少女は、フォルクスオーパー歌劇場5で上演されるオペラ「魔笛」の指揮者夫人としてホテルを訪れたのでした。シャーロット・ランプリング(『鳩の翼』、『ある侯爵夫人の生涯』主人公の母、『さざなみ』ベルリン銀熊賞など)出演。
➤ オーストリアは1942年の時点で、ドイツの7%を上回る国民のおよそ10 %がナチ党員で、オーストリア国民のナチ政策への加担は極めて大きく、彼らの一部は親衛隊に志願し、ユダヤ人の摘発、移送や東方のドイツ占領地域にあった強制収容所管理業務等において重要な役割を果たしていました。6

ノルウェー

08☞ヒトラーに屈しなかった国王(2016、原題『国王の拒絶』英題『国王の選択』)アカデミー賞外国語映画賞
ナチス・ドイツ軍によるノルウェー侵攻(ヴェーザー演習作戦)が起きる前日の1940年4月8日から国王ホーコン7世がナチス・ドイツからの降伏要求を正式に拒否した翌日の4月11日までを中心に描いています。7
➤ドイツ侵攻に際して国王一家と内閣はオスロから北部レルベルム8へ退避し、占領されたオスロでは、ファシズム政党のクヴィスリング9がヒトラー傀儡政権の首相となりましたが、売国奴と言われ戦後銃殺刑にされました。
君はわかっていないようだが、私はノルウェー史上で唯一 国民に選ばれた国王だ。この国は民主主義国家であって最も尊重すべきは国民の意見だ。今ここで私が決断すれば民主主義ではなくなる。この国の行く末は密談によって決まるのではない。国民の総意で決まるのだ
➤自身も政治生命をかけて秘密裡に、クヴィスリングを外した政府を認める提案をするノルウェーよりのドイツ公使に対して、国王は署名を断ります。ノルウェーが、スウェーデンとの同君連合(ひとりの君主が複数の国を治める形態)を解消する際、君主制支持79%の国民投票と議会による支持を経て、ホーコン7世として即位した経緯を、国民に選ばれた国王と言っています。
➤デンマーク王子であったホーコン7世は33歳の時に1905年にノルウェーの国王となり、ドイツ侵攻のあった68歳から5年間はイギリス王女であった亡妻の母国に亡命したものの、85歳で没するまで50年近く君臨し、一人息子のオラフ5世が後を継ぎました。
➤国王と王太子が亡命中、スウェーデンの王族であった王太子妃マッタは子供たちとともに母国に避難し、その後アメリカに亡命していました。

➤同時期にホーコン7世の兄であるデンマークのクリスチャン10世国王10と政府は内政の独立を条件に降伏し、その後国内でドイツ軍の占領に対し象徴国王として有形無形の抵抗を示しました。ホーコン7世と政府はイギリスに亡命し国外から対独抗戦を呼びかけました。
36☞『ザ・ハント ナチスに狙われた男(2017)11原題は「Den 12. mann(12番目の男)」
1943年、ナチスに追われるノルウェーのレジスタンス12人のうち、一人はその場で射殺、10人は捕えられ後に拷問や処刑で死亡しました。残る一人ヤン・バールスルード12だけが、凍傷と雪盲に苦しみながら地元民の助けを得てスウェーデンに脱出できた実話を元にした映画。逃げるヤンや彼を助けるノルウェー人たちと追手ナチスの将校の攻防に焦点を当てて描いています。
俺たちはノルウェー人に嫌われている。(中略)あれを見ろ、国王のモノグラムだろ?国民の愛されてる。彼らは日に日に大胆になっている。新しい象徴を見出されては困る。
(ナチスの将校が同僚に)
39☞『The 12th Man: A WWII Epic of Escape and Endurance (Jan Baalsrud and People Who Saved Him )(2001)Astrid Karlsen Scott, Tore Haug (著) ,『ザ・ハント ナチスに狙われた男』の原作

37☞『Nine Lives ( Ni Liv )(1957)5つ星のうち5.0(4個の評価)同じ題材で、主人公のサバイバルに焦点を当てた映画。13
38☞『We Die Alone(1955)David Howarth (著), 上記の原作

40☞『Escaping the Nazis: Jan Baalsrud’s Story (True Survival Stories)(2021)Betsy Rathburn (著), Tate Yotter (イラスト),子供向けの本
09☞ソニア ナチスの女スパイ』(2019)
➤第二次世界大戦中のナチス占領下のノルウェーで女優として活躍するソニア・ヴィーゲット14。父と弟はレジスタンス活動に参加、脚本家の夫の愛人はソニアの衣装係という修羅場。英語とドイツ語が堪能でフランス語もそこそこ。
➤ナチスの国家弁務官ヨーゼフ・テアボーフェンは、彼女の人気に目を付けてプロパガンダに利用しようとしていた一方、隣国スウェーデンの諜報部はスパイとしてナチスに潜入することを要請しました。同時にソフィアの父が収容所に連行され、彼女は父を救うためテアボーフェンに接触します。
10☞『ホロコーストの罪人』15(2020)第二次世界大戦時、ノルウェーの秘密警察がホロコーストに加担していた事実を基に、あるユダヤ人家族の悲劇を描きます[3][4]
11☞『誰でもない女』(2012)純粋アーリア人種を増やすため、ドイツの施設につられ去られた、ドイツ人兵士とノルウェー人女性の子供の戦後を描きます。
純正のアーリア人を生む出産施設(高い城の男シーズン2第5話)

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ポーランド

12☞ソフィーの選択16(1982)
ウィリアム・スタイロンの小説(1979年)が原作。
➤アウシュビツ強制収容所にいたことがあるポーランド人女性をメリル・ストリープ17が、ポーランド訛りの英語で演じ、アカデミー賞主演女優賞、ゴールデングローブ賞主演女優賞を受賞しました。
➤相手のユダヤ人役はケヴィン・クライン18
(サイト内リンク)ケヴィン・クライン出演映画『真夏の夜の夢』騾馬になるニック役
13☞『コレクター 暴かれたナチスの真実』(2016)ポーランドでナチスに加担したオランダ人の美術品コレクター、ピーター・メンテン。

オランダ

オランダのウィルヘルミナ女王19は、1939年に中立宣言をしていましたが、1940年5月、ナチのオランダ侵攻に際して女王捕縛の命を受けたドイツの機動部隊から30分差で辛くも逃れ[4]ました。同日午後、イギリス海軍の支援を受け、同国の駆逐艦で亡命した女王は、ロンドンで亡命政府を樹立し、女王はラジオを通じて国民に語りかけ、レジスタンス運動の精神的支柱となりました。ロッテルダムは壊滅的な空爆を受け、オランダはドイツの占領下に入りました。20
➤オランダ軍はドイツとの闘いで95%のパイロットを喪失、辛くもイギリスに脱出した海軍中心のパイロットは、イギリス空軍の指揮下におかれました。米国に飛行学校を設立し教育を再開するも、インドネシア戦で日本帝国軍に壊滅させられました21。日本帝国軍がインドネシアを占領できたのは本国オランダがドイツの占領下にあったからとも言われます22
➤オランダ人はゲルマン系が多く、ナチのユダヤ人政策にも無関心で、オランダ在住ユダヤ人の70~80%が殺害されたと言われています。戦後75年になる2020年の追悼行事で首相がはじめて謝罪しました。23
➤戦局が悪化するとドイツ軍はオランダ人の強制動員をはじめ、レジスタンス運動も激化しました。ドイツは報復として水上交通などを閉鎖しました。食糧や燃料の補給の途絶えた冬は「飢餓の冬」と呼ばれ、数か月でオランダ人2万人が命を落とすことになりました。犠牲者のほとんどは高齢男性であったと伝えられています。 [4][5]
のちの追跡研究により、飢餓を経験した妊婦から出生した子は高血圧や肥満になる確率が極めて高いことが知られています。当然、子供の身長や体重は通常時より小さく、その子(孫世代)も小さい子供が多いことから、飢餓の遺伝的影響は2世代以上に渡るとも考えられています。
➤ドイツが降伏文書に署名した3日後に、カナダ軍が首都アムステルダムに入城しました。24
オランダ王室のユリアナ王女は従妹であるカナダ総督夫人を頼って二人の娘と共にオタワに身をよせました。ユリアナはオタワ滞在中の三女出産を迎えましたが、オランダ国内で生まれないと王位継承権が得られないというオランダの法律に配慮し、カナダ議会は、ユリアナたちがいる病室をオランダの治外法権区域とする特別法を可決しました。マルフリーテ王女出生時には、国会議事堂でオランダ国旗が掲げられ、オランダ国歌を奏で、誕生を祝福しました。戦後、オランダ王室はお礼と友情の証として、毎年何万株ものチューリップの球根をオタワに送り続けています。25

14☞偽りの忠誠 ナチスが愛した女』(2016)オランダに亡命したドイツ皇帝ヴィルヘルム2世。
15☞ブラックブック』(2006)26ナチス・ドイツによる占領中のオランダで、隠れ家を爆撃され家族も皆殺しにされたユダヤ人女性。助けてくれたレジスタンスに加わり、諜報部のトップである大尉の愛人となり、ドイツ軍へ潜り込みスパイ活動を始めるストーリー。
➤大尉は趣味で切手を集めており、ウィルヘルミナ女王の切手話で主人公と知り合います。
➤大尉に連れられたドイツ人のパーティで、伴奏されるのはイタリアオペラ「アイーダ」の「凱旋行進曲」
➤占領時代を回顧する主人公が現在暮らすのは、イスラエルのユダヤ人コミュニティ「キブツ」。農業を中心とした独特の共同社会的な生活様式を発達させ、観光対象にもなっています。27
16☞アンネの日記』増補新訂版 (文春文庫) 2003/4/10 アンネ フランク (著), 深町 眞理子 (翻訳)5つ星のうち4.4(212個の評価中)
オランダのアムステルダムに隠れ住み、後に強制収容所で亡くなった少女の日記。

17☞アンネの追憶』(2012)アンネ・フランクの「その後」について、アンネの親友ハネリ・ホスラーにインタビューした内容をまとめた書籍『もうひとつの「アンネの日記」』を原作としている[1]映画。28

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チェコとスロバキア

18☞アウシュヴィッツ・レポート』(2020)第二次世界大戦末期、アウシュヴィッツ強制収容所から脱走した2人の若いスロバキア系ユダヤ人が、アウシュヴィッツの実態を告白したレポートを提出し、それによって12万人のユダヤ人の命が救われた実話の映画化。29
19☞『悪魔の愛人: リダ・バーロヴァ1(2016)ゲッペルスの愛人となりドイツで人気を博したチェコ人女優。

ユーゴスラビア

41☞『アンダーグラウンド』(1995)カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞
  1. ライフ・イズ・ビューティフル – Wikipedia
  2. サウンド・オブ・ミュージック (映画) – Wikipedia
  3. 愛の嵐 (映画) – Wikipedia
  4. リリアーナ・カヴァーニ – Wikipedia
  5. ウィーン・フォルクスオーパー – Wikipedia
  6. 増谷英樹・吉田善文、『図説オーストリアの歴史』、河出書房新社、2011年、91-92頁
  7. ウィキペディア(日本語)ヒトラーに屈しなかった国王
  8. Wikipedia(English)Elverum
  9. ウィキペディア(日本語)ヴィクドン・クヴィスリング
  10. ウィキペディア(日本語)クリスチャン10世(デンマーク王)
  11. The 12th Man (film) – Wikipedia
  12. Jan Baalsrud – Wikipedia
  13. Nine Lives (1957 film) – Wikipedia
  14. Sonja Wigert – Wikipedia
  15. ホロコーストの罪人 – Wikipedia
  16. ウィキペディア(日本語)ソフィーの選択
  17. ウィキペディア(日本語)メリル・ストリープ
  18. ウィキペディア(日本語)ケヴィン・クライン
  19. ウィルヘルミナ (オランダ女王) – Wikipedia
  20. ウィルヘルミナ (オランダ女王) – Wikipedia
  21. オランダ空軍 – Wikipedia
  22. 第二次世界大戦でのオランダの行動 – 戦前、戦中、戦後戦争そのもの… – Yahoo!知恵袋
  23. オランダ首相、ナチス虐殺で初めて謝罪 ユダヤ人保護せず – BBCニュース
  24. 第二次世界大戦とオランダ – 第二次世界大戦の解説 (uc-style.com)
  25. オランダが毎年チューリップを贈りつづける理由は…70年前のある出来事だった 「ありがとうカナダ!」 | Favorits Article from Japan (wordpress.com)
  26. ブラックブック – Wikipedia
  27. キブツ – Wikipedia
  28. アンネの追憶 – Wikipedia
  29. アウシュヴィッツ・レポート – Wikipedia

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