ビジネスモデル
プリンターのビジネスモデルは基本、機械(イニシャルコスト)を押さえて、トナー(ランイングコスト)で儲ける仕組みでした。
かみそりのキング・ジレット社が本体を無料配布し、替刃を購入してもらう手法で販売したことから、このような本体を安価で提供し、消耗品で稼ぐビジネスモデルをジレット・モデル1と言います。携帯電話もこのビジネス・モデルです。
さて、インドネシアなどではプリンターに大量インクを外付けするような改造業者が後を絶たなかったそうです。そこで、エプソンは大容量インクのプリンターを開発しました。そうすると既存のビジネスモデルが成り立ちません。そのような、自社の既存の製品やサービスが自社の新しいものにとってかわられることをカニバリゼーションといい、口語では「カニバる」などという使われ方をします。元々は「共食い」とか「人肉食」の意味の英語ですが、さらに語源をたどるとスペイン語の「カニバル」でカリブ族を示しているそうです1。
エプソンは、大容量インク型でメンテナンスコストを抑えることにより、従来レーザープリンタのマーケットであった市場に進出することで対象顧客の幅を広げて、新製品が旧製品をカニバっても全体としての売上・利益は変わらないようなリスク・ヘッジをしました。
逆にインクが余ってしまう家庭用に敢えて小容量のインクの製品も発売し、更に多様な顧客に対応することでマーケットを広げ(売上を上げ)て、多品種製造のコスト増を吸収し、全体として利益が変わらないという戦略をとりました。IT化・人口減・経済低迷などで日本国内コピー機業界全体のキャパシティが急成長を望めない状況で、どのようにに他社・他業態の顧客を取り込むかという好例にもなっています。
また、プリンター機は買取の場合の他、リースの場合もありました。買取の場合は減価償却となり、固定資産に金額が計上され、低率で経費を計上するのも面倒でしたが、リースなら定額で全額経費として計上できます。現在はサブスクリプション(定額制)のインク補充のビジネス・モデルも展開しているそうです。2
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