オープンイノベーション
オープンインベーションとは、ハーバード大学経営大学院の教授だったヘンリー・チェスブロウによって提唱された概念で、組自社だけでなく他社や大学など異業種、異分野が持つ技術やアイデア、サービス、ノウハウ、データ、知識などを組み合わせ、革新的なビジネスモデル、ソーシャルイノベーション等の成果につなげる方法1。研究者を社内で囲い込むクローズド・イノベーション
日本におけるオープンイノベーション活性化事例
- 32☞P&Gではコネクト&デベロップというプログラム[5]を立ち上げ、社外で開発された知的財産を活用して社内で事業化することを図っている[6]。
- 33☞大阪ガス、東レ、日産自動車、味の素、デンソーなど多くの企業がオープンイノベーションへの取り組みを増やしている[3]。日産自動車では社外との連携だけではなく、日常的に事業部同士の連携や合同会議、さらには社内と社外でフューチャーセッションを行うことで革新的な製品開発につなげている[7][8]。
- 34☞東レでは個別の技術情報を交換するオープンイノベーションサイト、NANOTECH SNeeedSを設けている[9]。
- 35☞パーソルキャリアやナインシグマなど、仲介業者としてオープンイノベーションの円滑化を行う企業もあり、企業同士のオープンイノベーションをコーディネートしている例[10]もある[11][12][13]。
- 36☞国内、海外とのスタートアップとの連携、アクセラレータープログラム、コーポレートベンチャーキャピタル。
- 37☞NPO法人、NGO、さらには伝統工芸と企業の連携などの事例も増えつつある[14][15][16]。
- 38☞一般社団法人運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)では「運輸業界の問題をICT等の力を利用して解決し、社会に貢献する」ことを目的として2016年より活動を開始し、運輸事業者と各種ソリューションを持つベンダがテーマごとに会合を重ね、実証実験を重ね[17]、実験結果を「TDBC Forum」として各ワーキンググループごとの成果報告、一般公開(エコドライブ・事故撲滅、MaaSへの取り組み、健康課題、先端技術を活用した業務効率化等)を行っている[18]。
産学連携における事例
- 39☞産学連携の分野では科学技術振興機構が積極的に産学連携に取り組んでいる[19]。その例として、科学技術振興機構では、大学、公的研究機関および科学技術振興機構の各種事業により生まれた、研究成果の実用化を促進するため、「新技術説明会」を開催している[20]。これには革新性の高い産学連携に助成金を出すといった制度もある。また、科学技術振興機構ではイノベーション・ジャパンとよばれる展示会を毎年夏に開催している[21]。
- 40☞国立研究機関としては、物質・材料研究機構[22]、産業技術総合研究所[23]、理化学研究所[24]、国立情報学研究所[25]の他、警察庁や気象庁管轄の研究機関まで多岐にわたり始めている[26]。
- 41☞新エネルギー・産業技術総合開発機構も類似の活動を行っており[27]、企業同士の連携開発のサポートと開発金の助成を行っている。
- 42☞デザイン分野のオープンイノベーションとしては、京都大学デザインスクールがデザインイノベーションコンソーシアムを立ち上げているほか、アートイベント デザインフェスタでの企業と個人の連携など事例もある[28]。
- 43☞学生CGコンテストに取り組む、画像情報教育振興協会などでは、デザインと情報処理融合のコンピュータグラフィックスの促進に取り組んでいる。
- 44☞東京大学が創薬オープンイノベーションセンターを開設[29]
- 45☞電気通信大学関係者が設けたオープンイノベーション推進ポータル、キャンパスクリエイト[30]など大学も同様のサイトを立ち上げるなどの活動を行っている。
自治体、行政における事例
- 46☞自治体としては、オープンデータの取り組みが積極的になされ、日本では東日本大震災がオープンデータの機運が高まる契機になった。自治体では鯖江市が2012年1月に初めてオープンデータを提供した。現在では、政令指定都市や都道府県、中央官庁でもオープンデータが進行している。
- 47☞イノベーションの支援策としては大阪市が、イノベーションの担当職員を設け[31]大阪イノベーションハブという場を設け、イノベーション推進に取り組んでいる
- 48☞横浜市がオープンイノベーション・プロジェクトに取り組むなどの事例がある[32]。
- 49☞経済産業省はオープンイノベーションアリーナ構想を、日本再興戦略の一環として推進し、オープンイノベーションの国際化を推進している。[33]
IT企業、IT技術における事例
IT企業にはIT勉強会やハッカソンとよばれる、他社同士で勉強会を開く文化があるほか、現在では一般的となっているオープンソースや、地方自治体や官庁などに眠っているデータをビジネスに活用していく、オープンデータといった取り組みもあり、オープン化についてはIT分野が先行していた。
従来、このようなハッカソンはIT企業を中心としたものであったが、メイカーズムーブメントの流れを受け、アナログ回路、デジタル回路、PCB設計、組み込みソフトウェア、3Dプリンタなどの技術領域を用いたハードウェア分野のハッカソンが行われるようになってくるとともに[34]、製造業の大企業が行うハッカソンも増えてきている。[35]また、音楽やアート、化学、金融、食品といった分野でも行われるようになってきている[36][37][38][39]。
オープンイノベーション拠点
オープンイノベーションを目的として、場を提供するものが増えている。それぞれ、趣旨は異なるがフューチャーセンター、コワーキングスペース、イノベーションハブ、インキュベーション施設、ファブスペースなどがある[40][41][42]。 オープンイノベーション拠点の施設を作ったものの、使われていないという課題がある場合もあり、企業組織をオープンイノベーションに適応させる取り組みの一歩として、IT勉強会やフューチャーセンターの会場として社外に提供することで社外の人材と社内の交流も方法の一つである。[43]
オープンイノベーション拠点のうち、内外の人材が出入りできる場所であり、最新情報を手に入れられ 最後にオシャレな空間であるものを共創スペースという。おしゃれな空間であっても内外の人が出入りできないものは共創スペースには含まれない。[44]
海外企業、大学、コンソーシアムとの協業
- 50☞ IT分野ではシリコンバレーが有名
- 51☞1970年代から起業を支援しているイスラエル[46]
- 52☞新興国の市場開拓の点から経済成長と起業が著しい中国の深圳市
- 53☞インドのバンガロール[47][48]
- 54☞ASEAN[49]との協業例
- 55☞スマートエネルギー、農業であればオランダ[50][51]
- 56☞食品であればフランス[52]、オランダ・フードバレー
- 57☞半導体分野ではIMECを置くベルギー[53]
- 58☞日本台湾間ではオープンデータやオープンイノベーションのプロジェクトが多数立ち上がっている[54][55]
- 59☞東南アジアにおいてはシンガポールがスタートアップの一大拠点となっている[56]
- 60☞フィンランド発のSlush(起業)
- 61☞ベルリン発の
- イギリスのLondon Tech Weekなど欧州スタートアップのイベントが存在する[59][60][61]。
ただし、海外企業やシリコンバレー、深圳などにおいて日本人は勉強だけでビジネスの話にならないという不評も現地であり、見学が断られるケースも増えている[57]。起業、新規事業等新しい取り組みが極めて活発な都市をイノベーション都市という[58]。
01☞大学オープンイノベーション75選カオスマップ(2020年版)全国大学イノベーション拠点一覧
02☞日本オープンイノベーション大賞 内閣府が先導性や独創性の高い取組を「日本オープンイノベーション大賞」として表彰。
第1回表彰の取り組み
03☞(内閣総理大臣賞)超多項目健康ビッグデータで「寿命革命」を実現する健康未来イノベーションプロジェクト
04☞(科学技術政策担当大臣賞)大企業発のスタートアップ「ミツバチプロダクツ(株)」の挑戦
05☞(総務大臣賞)リアルタイム津波浸水被害予測システムの開発と運用
06☞(文部科学大臣賞)基礎研究段階からの産学共創~組織対組織の連携~
07☞(厚生労働大臣賞)医療の IoT 化を実現するスマート治療室 SCOT の開発
08☞(農林水産大臣賞)宮崎県における産学官連携による公設試験場発ベンチャー企業「一般社
団法人食の安全分析センター」の設立と残留農薬分析技術の社会実装
09☞(経済産業大臣賞)「JR 東日本スタートアッププログラム」を通じたイノベーションの社会実装チャレンジ
10☞(国土交通大臣賞)東北インフラ・マネジメント・プラットフォームの構築と展開
11☞(環境大臣賞)定期旅客便を利用した温室効果ガスのグローバル観測(CONTRAIL プロジェクト)
12☞(日本経済団体連合会会長賞)大企業若手有志プラットフォーム「ONE JAPAN」
13☞(日本学術会議会長賞)再生医療等臨床研究を支援する再生医療ナショナルコンソーシアムの
実現
(日本オープンイノベーション大賞選考委員会特別賞)
15☞「レンタル移籍」による人材育成とイノベーションのエコシステム構築
16☞遺伝子組換えカイコによる新産業創出プラットフォームの構築
17☞骨置換型人工骨「サイトランス グラニュール」の開発と実用化
第2回表彰の取り組み 内容詳細
18☞(内閣総理大臣賞)汎用的「知能ロボットコントローラ」の開発
19☞(科学技術政策担当大臣賞)血液を工場で作る~iPS 細胞を応用した再生医療の産業化を目指して~
20☞(総務大臣賞)ビッグデータで AI 翻訳を高精度化し翻訳産業に革命を起こす翻訳バンク
21☞(文部科学大臣賞)九州大学起業部
22☞(厚生労働大臣賞)ライフ インテリジェンス コンソーシアム(LINC)
23☞(農林水産大臣賞)「食・原料の安全・安心」を担保するためのAI食品原料検査装置
24☞(経済産業大臣賞)IoT×FinTech を活用したイノベーションによる新たな社会創造
25☞(国土交通大臣賞)全国対応、軽貨物の当日緊急配送を実現する”モノの MaaS”実現
26☞(環境大臣賞)フードロス解決アプリ「TABETE」と自治体の協働による社会課題解決
27☞(スポーツ庁長官賞)SPORTS TECH TOKYO
28☞(日本経済団体連合会会長賞)AI/DL 人材による事業データ活用実践機会創出の取組「CDLE ハッカソン」
29☞(日本学術会議会長賞)先導的な量子ビーム応用によるスマートな健康長寿社会の創出
(日本オープンイノベーション大賞選考委員会特別賞)
30☞ビジネスエンジニアリング専攻におけるイノベーション人材育成の取組
31☞異分野連携による構造用セルロースナノファイバーの社会実装と価値共創 ~ 森とシューズをつなぐ ~
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