ヴェルディのオペラ
- オペラ
- 1 オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵(Oberto, conte di San Bonifacio)
- 2 一日だけの王様、あるいは偽のスタニスラオ(Un giorno di regno, ossia il finto Stanislao)
- 3 ナブッコ(ナブコドノゾール)(Nabucco (Nabucodonosor))
- 4 イ・ロンバルディ(第一回十字軍のロンバルディア人)(I Lombardi alla prima crociata)
- 5 エルナーニ(Ernani)
- 6 二人のフォスカリ(I due Foscari)
- 7 ジョヴァンナ・ダルコ(Giovanna d’Arco)
- 8 アルツィーラ(Alzira)
- 9 アッティラ(Attila)
- 10a マクベス(Macbeth)
- 11 群盗(I masnadieri)
- 12 イェルサレム(Jérusalem)
- 13 海賊(イル・コルサーロ)(Il corsaro)
- 14 レニャーノの戦い(La battaglia di Legnano)
- 15 ルイザ・ミラー(Luisa Miller)
- 16 スティッフェーリオ(Stiffelio)
- 17 リゴレット(Rigoletto)
- 18 イル・トロヴァトーレ(Il Trovatore)
- 19 椿姫(ラ・トラヴィアータ)(La Traviata)
- 20 シチリアの晩鐘 (シチリア島の夕べの祈り)(Les vêpres siciliennes)
- 21a シモン・ボッカネグラ(Simon Boccanegra)
- 22 アロルド(Aroldo)
- 23 仮面舞踏会(Un Ballo in Maschera)
- 24a 運命の力(La forza del destino)
- 10b マクベス(Macbeth)
- 25a ドン・カルロス(Don Carlos)
- 24b 運命の力(La forza del destino)
- 26 アイーダ(Aida)
- 25b ドン・カルロ(Don Carlo)
- 27 オテロ(Otello)
- 28 ファルスタッフ(Falstaff)
オペラ
1 オベルト、サン・ボニファーチョ伯爵(Oberto, conte di San Bonifacio)
制作1839年 2幕 台本A.ピアッツァ M.ソレーラ改訂 初演1839.11月17日 ミラノ・スカラ座
2 一日だけの王様、あるいは偽のスタニスラオ(Un giorno di regno, ossia il finto Stanislao)
制作1840 2幕 台本F.ロマーニ 初演1840.9月5日 ミラノ・スカラ座
3 ナブッコ(ナブコドノゾール)(Nabucco (Nabucodonosor))
制作1842年 4幕 台本 T.ソレーラ 初演1842.3月9日 ミラノ・スカラ座1
旧約聖書(ユダヤ教聖書)の『エレミヤ書』と『ダニエル書』の人物を元にオギュスト・アニセ=ブルジョワおよびフランシス・コルヌの著した戯曲『ナブコドノゾル』(1836年パリ初演)、および同戯曲に基づくアントニオ・コルテージ作曲のバレエ音楽『ナブコドノゾール』(1838年スカラ座初演)を原作としています。”ナブッコ”とは、ネブカドネザル(2世)として知られるバビロニアの王の名前で、紀元前587年のエルサレムおよびバビロンを舞台としています。2
ナブコドノゾール王(ナブッコ)(バリトン):エルサレムに侵攻するバビロニアの王。我こそは神であると、神を冒涜したため雷に打たれるが、後にユダヤ教に改宗し、ヘブライの民とフェネーナを救出。
イズマエーレ(テノール):エルサレム王ゼデキヤの甥でフェネーナをユダヤ教に改宗させる恋人。
ザッカリーア(バス):ヘブライの民や改宗した後のフェネーナを励ますヘブライ人の大祭司。
アビガイッレ(ソプラノ):ナブッコの長女として育てられている、女奴隷との間の子。策を弄し王座を簒奪。フェネーナに嫉妬し処刑しようとするものの、ナブッコに阻まれ毒を仰ぎ自死。
フェネーナ(ソプラノ、メゾソプラノ):ナブッコとその正妻(の一人)との間に生まれたアビガイッレの妹。
ネブカドネザル2世がユダ王国のエルサレムを攻略し、捕虜を、人口が減少しているバビロンへ移住さ建設事業などに従事させた事件をバビロン捕囚1といいます。古代オリエント社会においては、反乱の防止や職人の確保、労働力の確保を目的として強制移住が行われることは頻繁に見られる政策でした。
ネブカドネザル王は「ネブ神に守られし長男」という意味です。ナブ神はバビロニアの主神マルドゥク神の息子で知恵の神でした。
➤ネブカドネザル王には、アビガイッレという名の娘がいたという伝承はありませんが、息子のアメル・マルドゥク(エビル・メロダク)王は父王の政策に反対する改革を行ったそうです。
➤また、娘の夫は高官であったネルガル・シャレゼルで、後にアメル・マルドゥク王を倒し王位を簒奪しました。その名前は「ネルガル神よ、王を守り給え」という意味で、ユダヤ教徒ではなかったようです。
➤ネブカドネザル王の新バビロニア王国に属国とされたユダ王国のエホヤキンは、18歳で第19代ユダ王として即位するも、3ケ月でネブカドネザル王に捕らわれます(イズマエーレという名ではないようです)。その後、21歳の叔父ゼデキアがエルサレムで即位しましたが、ネブカドネザル王に反逆し、1年半後にエルサレムが陥落し最後のユダ王となりました。ゼデキアはユダ王にしてやったのに裏切ったと、ネブカドネザル王に捕らえられた後、目の前で子供を殺されたり目をくりぬかれ死ぬまで鎖につながれていました。反対に、エホヤキンは厚遇されていたそうです。1
51☞ヴェルディ《ナブッコ》行けわが想いよ黄金の翼に乗って/トスカニーニ2013/03/10
52☞Verdi, “Va’, pensiero” da ‘Nabucco’ 2012/11/26 Teatro La Fenice
4 イ・ロンバルディ(第一回十字軍のロンバルディア人)(I Lombardi alla prima crociata)
制作1843年 4幕 台本T.ソレーラ 初演1843.2月11日 ミラノ・スカラ座
5 エルナーニ(Ernani)
制作1844年 4幕 台本F.ピアーヴェ 初演1844.3月9日 ヴェネツィア・フェニーチェ劇場
ビクトル・ユゴー原作の戯曲55☞『エルナニ』(Hernani, 1830年初演)による、一人の女性をめぐる3人の求婚者の物語。ヴェルディが、ヒーローとしてのテノール、そのライヴァルであるバリトン、その両者に想われるヒロインのソプラノという組合せを確立した作品と言われており、後の『レニャーノの戦い』、『イル・トロヴァトーレ』、『仮面舞踏会』そして『運命の力』などで踏襲されています。
このオペラの内容はノンフィクションですが、スペイン王ドン・カルロは実在の人物で、孫のドン・カルロの悲恋を題材にした『ドン・カルロ』もヴェルディにより後に作曲されています。
エルナーニ (テノール): 山賊の頭目。断絶した貴族の家の出身で、エルヴィーラの恋人。命を救われたシルヴァとの約束を果たし自刃。
ドン・カルロ (バリトン): 実在の神聖ローマ皇帝・カール5世(スペイン王としてはカルロス1世)のこと。シルヴァにみつかったエルナーニを救う。慈悲により反乱軍を赦免し、エルナーニとエルヴィーラを結婚させる。
ドン・ルイ・ゴメス・デ・シルヴァ (バス): スペインの誇り高い貴族、老人。乱入してきた王の軍勢からエルナーニを救う。反乱するも王の慈悲により斜面されるがエルヴィーラを失いエルナーニに復讐する。
ドンナ・エルヴィーラ (ソプラノ): エルナーニと相思相愛だが、伯父シルヴァと無理やり結婚させられようとしているシルヴァの姪。
ジョヴァンナ (ソプラノ): エルヴィーラの乳母
ドン・リッカルド (テノール): カルロの従者
ヤーゴ (バス): シルヴァの従者
57☞ヴェルディ生誕200年企画
58☞グリンダ演出(2014)近代的な装置を使った演出。モンテカルロ歌劇場
6 二人のフォスカリ(I due Foscari)
制作1844年 3幕 台本F.ピアーヴェ 初演1844.11月3日 ローマ・アルジェンティナ劇場
7 ジョヴァンナ・ダルコ(Giovanna d’Arco)
制作1845年 3幕 台本T.ソレーラ 初演1845.2月15日 ミラノ・スカラ座
8 アルツィーラ(Alzira)
制作1845年 2幕 台本S.カンマラーノ 初演1845.8月12日 ナポリ・サン・カルロ劇場
9 アッティラ(Attila)
制作1846年 3幕 台本T.ソレーラ 初演1846.3月17日 ヴェネツィア・フェニーチェ劇場
10a マクベス(Macbeth)
制作1847年 4幕 台本F.ピアーヴェ、A.マッフェイ補筆 初演1847.3月17日 フィレンツェ・ペルゴラ劇場
11 群盗(I masnadieri)
制作1847年 4幕 台本A.マッフェイ 初演1847.3月14日 ロンドン・王立歌劇場
12 イェルサレム(Jérusalem)
制作1847年 4幕 台本A.ロワイエ、G.ヴァエズ 初演1847.11月26日 パリ・オペラ座
『十字軍のロンバルディア人』の改作、およびフランス語版
13 海賊(イル・コルサーロ)(Il corsaro)
制作1848年 3幕 台本F.ピアーヴェ 初演1848.10月25日 トリエステ・グランデ劇場
14 レニャーノの戦い(La battaglia di Legnano)
制作1849年 4幕 台本S.カンマラーノ 初演1849.1月27日 ローマ・アルジェンティナ劇場
15 ルイザ・ミラー(Luisa Miller)
制作1849年 3幕 台本S.カンマラーノ 初演1849.12月8日 ナポリ・サン・カルロ劇場
シラー原作の『Kabale und Liebe(ドイツ語)』(英語:Intrigue and Love3、日本語:たくらみと恋)を元にした悲劇。
ヴァルター伯爵(バス) – 息子のためと考え先代を暗殺して伯爵になった領主。財産目当てでルイザが息子に近づいたと思う。息子には公爵未亡人フェデリアを娶わせるつもり。
ロドルフォ(テノール) – 伯爵の息子でカルロと名乗るルイザの恋人。ルイザに裏切られたと思い毒により心中を図る。ルイザに真相を打ち明けられ最期に力を振り絞ってヴルムを刺し殺す。
ルイザ・ミラー(ソプラノ) – 父を救うため、ロドルフォとは財産目当てで本当はヴルムを愛していると嘘をつかされ、自殺を考える村娘。恋人に毒を飲まされたことを知り全てを打ち明け息絶える。
ミラー(バリトン) – 伯爵とヴルムにより城にとらわれるルイザの父。娘の嘘により釈放される。
ヴルム(バス) – ルイザに横恋慕し策略を図るヴァルター伯爵の秘書官。ロドルフォに刺される。
フェデリカ(メゾソプラノ) – オストハイム公爵未亡人。ロドルフォと再婚予定の伯爵の姪。
29☞Nathaniel Merrill4演出版(1979年上演)では、若かりしプラシド・ドミンゴがロドルフォを演じています。30☞エライジャ・モシンスキーの演出版(2018年上演)5では、ルイーザの父をプラシド・ドミンゴが演じています。1,6
16 スティッフェーリオ(Stiffelio)
制作1850年 3幕 台本F.ピアーヴェ 初演1850.11月16日 トリエステ・グランデ劇場
17 リゴレット(Rigoletto)
制作1851年 3幕 台本F.ピアーヴェ 初演1851.3月11日 ヴェネツィア・フェニーチェ劇場
ヴィクトル・ユーゴー作『王は愉しむLe Roi s’amuse(1832年)8』が原作。原作の戯曲はフランソワ1世1(1494-1547)とその道化トリブレ(1479-1536)9でしたが、フランス革命後の王政復古時代であったため上演禁止になった経緯があります。そこで、主人公を、当時すでに断絶していたマントヴァ公1に変えました。原案には16世紀のマントヴァ公ヴィンチオ1世・ゴンザーガ(1562-1612)1をモデルにしている記述があったそうです1。
➤マントヴァ公爵は女性に目が無い君主に描かれています。キリスト教(カトリック)では法王に認められた正式の夫婦の嫡子が正式な後継となるので、王家の結婚は政略的なものであり恋愛相手の愛人はいても正式の側室制度はありませんでした。モデルとなったフランソワ1世は国庫から費用を出す公式の愛人である“公式寵姫”の制度を導入し、公式寵姫は公式の場にも王妃と並んで顔を出し外交や文化振興などを担いました。(ただし、子供は王位を継げません)なお、この時の公式寵姫はエタンプ侯爵夫人でした。
➤『リゴレット』には登場しませんが原作『王は愉しむ』では、10代のポワティエ夫人が父の謀反の疑いに対し操を犠牲にして父の生命を助けた(父の恩赦と引き換えに少女がフランソワ1世の寝室へ取れていかれた)事件が登場します。後にディアヌ・ド・ポワティエはフランソワ1世の息子アンリ2世(20歳も年下!)の公式寵姫となりました。
➤元来、矮人とよばれる小人症の宮廷道化も多く、スペインの王家を描いたベラスケスの絵やヘンリー8世の道化などの絵も残っています。バカにされ慰み者になった彼らは、一般人と違うことである種別次元の存在として、権力者に対して人々が口にできないことや逆に権力者が表立って口にできないことを言える特権がありました。彼らの毒舌は「道化の言うことだから」と宮廷で大目に見られました。民間でも、狂人や知恵遅れ、障碍者などを「聖愚者」として聖人とする習慣もありました。
➤マントーヴァのゴンザーガ家には「くる病」の遺伝があり、背中に瘤ができる、いわゆつ「せむし」の奇病を持つ人物が生まれるそうです。元々宮廷道化は小人症のいわゆる「せむし」ですが、音楽評論家の加藤浩子は、『リゴレット』の道化が異形の設定は、このような背景とも関係があると推察しています。現地の宮殿のガイドもそのような解説をしていたとのこと。1
➤その遺伝は14世紀のフランチェスコ1世の妃マルゲリータにより、リミニのマラテスタ家からもたらされたものだといいます。1リミニのマラテスタ家もザンドナーイのオペラ『リミニのフランチェスカ』の題材になっており、ヒロインの婚約者ジョバンニ(通称ジャンジョット)の兄は醜い身体を持っている設定です。
マントヴァ公爵(テノール)貧しい学生の振りをしてジルダに言い寄る好色な君主。
リゴレット(バリトン)公爵の暗殺を依頼する、公爵に仕えるせむしの道化。
ジルダ(ソプラノ)公爵を愛し、自らこっそり身代わりとなって殺されるリゴレットの娘、16歳。
スパラフチーレ(バス)公爵の暗殺を請け負うブルゴーニュ生まれの殺し屋。
マッダレーナ(ソプラノ/メゾソプラノ/アルト)公爵を愛し、身代わり殺しを持ち掛けるスパラフチーレの妹。
チェプラーノ伯爵夫人(メゾソプラノ)公爵の浮気相手の人妻。
モンテローネ伯爵(バス)娘を誘惑した公爵を恨み、からかうリゴレットに呪いの言葉を吐く老人。
85☞Giuseppe Verdi – Rigoletto – Pavarotti, Gruberova, Wixell – Chailly(1982年)ジャン・ピエール=ポネル監督オペラ映画。マントヴァ伯: ルチアーノ・パバロッティ
86☞Rigoletto10(1993年)オペラを題材にし大恐慌時代のニューヨークを舞台としたファミリー向け映画。
87☞Rigoletto (Opera in three acts with Juan Diego Flórez)(2008)ドレスデン46☞ヴェルディ 《リゴレット》 「女心の歌」 パヴァロッティ
48☞ヴェルディ《リゴレット》「女心の歌」デル=モナコ
84☞Vitas – La Donna E Mobile「女心の歌」ロシアのミュージシャン、ヴィタス1によるミュージック・ヴィデオ。
85☞Vitas _ AVE MARIA _ full version ヴィタス「アヴェ・マリア」88☞“Bella Figlia dell’amore”, Plácido Domingo, español TV Publica
89☞Bella figlia dell’amore – Rigoletto – Teatro Filarmonico
90☞BELLA FIGLIA DELL’AMORE – THE MOST FAMOUS OPERA ENSAMBLES
If one enchants me today, another might tomorrow!
18 イル・トロヴァトーレ(Il Trovatore)
制作1853年 4幕 台本S.カンマラーノ(E.バルダーレ補筆) 初演1853.11月9日 ローマ・アポロ劇場1
原作はアントニオ・ガルシア・グティエレスの戯曲『エル・トロバドール』(El Trovador 吟遊詩人)
Anvil Chorus United States Navy Band 米国海軍
“ANVIL CHORUS” BY GLENN MILLER グレン・ミラーのビッグ・バンド・ジャズ
The Anvil Chorus by Giuseppe Verdi 「アンヴィル・コーラス」のある生活
映画に登場した『イル・トロヴァトーレ』
88☞『オペラは踊る1』(A Night at the Opera, 1935年) – 後半部で舞台上で展開するオペラと、公演を台無し寸前にまでしてしまうマルクス兄弟のドタバタ劇。
89☞『Moonlight Murder』(1936年) – 『イル・トロヴァトーレ』に出演中のテノールが舞台上で殺された事件を巡るミステリー映画。
90☞『夏の嵐1』(Senso, 1954年) – ルキノ・ヴィスコンティ監督。1866年、オーストリア帝国支配下のヴェネツィアのフェニーチェ劇場で「見よ、恐ろしい炎を」が歌われた際、観客がその歌にイタリア独立・統一へのメッセージを読み取り暴動が発生する。
92☞『ルナ』(1979)ベルナルド・ベルトルッチ監督。1オペラ歌手の母と息子の葛藤を描く。第一幕2場が映画中に登場。
91☞『耳に残るは君の歌声1』(The Man Who Cried, 2000年) – サリー・ポッター監督作品。第二次世界大戦直前のロンドン、パリでのユダヤ人女性の人生を描くこの作品で、熱烈なファシストであるイタリア人テノールが「見よ、恐ろしい炎を」を歌うさまが効果的に用いられている。
19 椿姫(ラ・トラヴィアータ)(La Traviata)
制作1853年 3幕 台本F.ピアーヴェ 初演1853.3月6日 ヴェネツィア・フェニーチェ劇場1
原作アレクサンドル・デュマ・フィスによる『椿姫』。オペラの題は、フランス語で”道を踏み外した女”の意。原作のヒロインの名は、マルグリットからヴィオレッタに、恋人のアルマンの名はアルフレッドに変更されました。
ヴィオレッタ・ヴァレリー (ソプラノ)アルフレッドと恋愛して尽くすが、アルフレッドの父ジェルモンより、娘(アルフレッドの妹)の結婚に支障をきたしていることを聞き、身を引く高級娼婦。わざと浮気な自堕落な姿を見せアルフレッドに愛想をつかさせますが、病気のため亡くなる寸前にアルフレッド父子と再会し和解します。
アルフレード・ジェルモン(テノール)ヴィオレッタと恋愛する青年貴族。ヴィオレッタの別離を誤解し、人々の前で侮辱し父親にとがめられるも、ヴィオレッタの死の直前に和解します。
ジョルジョ・ジェルモン(バリトン)アルフレッド不在の際に彼を別れるようヴィオレッタを説得するアルフレードの父親。当初は息子を利用している娼婦と考えていましたが、彼女が財産を処分してまで尽くしていることを知り同情するものの、別れるよう頼みます。
フローラ・ベルヴォア (メゾソプラノ)ヴィオレッタの友人の高級娼婦。
アンニーナ(ソプラノ)ヴィオレッタの家の召使い 。
ガストーネ子爵(テノール)アルフレードの友人 。
ドゥフォール男爵(バリトン)ヴィオレッタのパトロンでアルフレードの恋敵。
ドビニー侯爵(バス)フローラのパトロン
グランヴィル医師(バス)ヴィオレッタの主治医
↑MET Willy Decker演出版(2017年上演)
63☞映画 ラ・トラヴィアータ(1982年)ジャン・フランコ・ゼッフェレッリ演出。テレサ・ストラーニ、プラシド・ドミンゴ出演。ジェームズ・レヴァイン指揮。
➤冒頭の場面やアルフレードの妹が登場するフラッシュバック場面は、オペラにはないけれど、映画だからこそ導入することが可能になったとゼッフェレッリは語っています。シェークスピアが古典をアレンジして戯曲にしたように、ヴェルディがシェークスピアをアレンジしてオペラ『オテロ』にしたように、新たな芸術形態は必ずしも原作を完全に踏襲する必要はないとゼッフェレッリは主張します。「‘純粋オペラ主義者’は怒るだろうが」と著述しているので、当時もそのような演出に反対意見が少なくなかったのでしょう。
➤衣装デザインのピエロ・トージは、最終幕用に豪華なドレスを用意しました。何もかも売り払ったヴィオレッタが、唯一守り通した高級なガウンを恋人に再会する時に着ることで悲壮感が高まる演出でした。ヴィオレッタ役のテレサは小柄だったので足台に乗って着用する構想だったのですが、テレサ自身が、少女が着るような薄いガウンと裸足を提案しました。テレサはゼッフェレッリが撮れなかったマリア・カラスの椿姫のイメージを重ねられることに悩まされていたとか。後にゼッフェレッリは、結局テレサの提案を採用したのが功をなしたと反省しています。11
65☞椿姫 アルベルト・ファッシーニ演出(2001年)来日したフェニーチェ歌劇場が、Bunkamuraオーチャードホールで公演。
66☞椿姫 ジャン・フランコ・ゼッフェレッリ演出(2002年)ジュゼッペ・ヴェルディ劇場(ブッセート)指揮:プラシド・ドミンゴ、演奏・合唱:アルトゥーロ・トスカニーニ財団管弦楽団&合唱団。
67☞椿姫 ペーター・ムスバッハ演出(2003年)指揮:佐渡 裕、演奏:国立パリ管弦楽団、エクサンプロヴァンス音楽祭。
68☞椿姫 ロバート・カーセン演出(2004年)96年の火災から再建したフェニーチェ歌劇場柿落。衝撃の演出。ロリン・マーゼル指揮
69☞椿姫 Willy Decker演出版(2005年)ザルツブルク音楽祭。ヴィオレッタ役アンナ・ネトレプコ。シンプルな舞台で上演前から大きな話題を呼んでいたシンプルな演出。
70☞椿姫 ユルゲン・フリムの演出(2005年)チューリヒ・映画祭
71☞La Traviata マリア・ドミンゴ演出(2006年)
72☞椿姫 リリアーナ・カヴァーニ(演出)(2007年)ミラノ・スカラ座。ヴィオレッタ役アンジェラ・ゲオルギュー、ジェルモン役ロベルト・フロンターリ。ダンテ・フェレッリ(舞台装置)ガブリエッタ・ペスクッリ(衣装)。正統派の演出。
73☞椿姫 Jean-Francois Sivadier演出(2011年)フランス人演出家による力強い等身大の女性としてのヴィオレッタ。
52☞椿姫 Peter Konwitschny演出(2011年)
51☞椿姫ができるまで (2013年)
74☞椿姫 トム・ケアンズ演出(2014年)グラインドボーン音楽祭。最近流行の過激なものではなく、あくまでも歌手たちを引き立て、物語を丁寧になぞる穏健な演出。装置などもいたずらに華美になることはなく、色彩でコントラストをつけることで明と暗を暗示しているという「安心してみていられる」舞台。
75☞椿姫 ピエル・ルイージ・ピッツィ演出(2014年)マドリッド交響楽団・合唱団。
76☞椿姫 ローランド・ビリャソン演出(2015年)バーデン=バーデン祝祭劇場。現代テノール界のスターがサーカス劇場を舞台として演出。ティボー・ファンクラーネンブルックの手がけた鮮やかな衣装は一瞬で観客の心をつかみます。
50☞ソフィア・コッポラの椿姫(2017年)
77☞椿姫 演出:リチャード・エア(2019年)ジェルモン役プラシド・ドミンゴ。コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団・合唱団。再演演出:アンドリュー・シンクレア、美術:ボブ・クロウリー、照明:ジーン・カルマン、振付:ジェーン・ギブソン
78☞フル・オペラ
La Traviata (1967) [English Subtitles]
La Traviata – Fleming, Bruson, Villazón – Subtítulos en Español ルネ・フレミング
La Traviata Opera | Director:David McVicar/Choreographer:Andrew George
Produzione del Teatro Comunale di Bologna
Peter Konwitschny of the Graz Opera James Rutherford, Marlis Petersen
79☞前奏曲
椿姫 序曲 解説付き【字幕で観るオペラ】La Traviata Preludio
La Traviata: prelude Act 1 – Verdi – Zandonai Theater バレエ
Prelude #1 to La Traviata, Verdi アコーディオン
80☞Dell’invito trascora e gia l’ora?
La Traviata – Atto 1 – Dell’invito trascora e gia l’ora? (1994)ロイヤル・オペラ・ハウス
La traviata – Dell’invito trascorsa è già l’ora La Fenice theatre in Venice
“Dell’ invito trascorsa è già l’ora” (2005)アンナ・ネトレブコ主演、Willy Decker演出。
81☞Libiamo, ne’lieti calici [Brindisi]乾杯の歌
IL Volo – Libiamo ne’ lieti calici. The Bolshoi Theatre. 19.03.2019 イル・ボーロ
La Traviata: “Libiamo, ne’ lieti calici” メトロポリタン歌劇場2018、Michael Mayer演出
/ Act 1 (Arr. for Cello and Orchestra) – Libiamo ne’lieti calici (Brindisi) チェロ
82☞ Un dì, felice, eterea(ある日幸せにも)
“Un di, felice, eterea” – La Traviata by Verdi Paris Opera, Emonela Jaho
Un di felice eterea/Villazon 2005. アンナ・ネトレブコ主演、Willy Decker演出
Jose Cura “Un di felice, eterea” La Traviata
83☞ Si ridesta in ciel
Giuseppe Verdi – La Traviata – Si ridesta in ciel l’aurora Willy Decker演出
Si ridesta in ciel l’aurora
Giuseppe Verdi — La Traviata – Si ridesta in ciel l’aurora
93☞È strano! È strano!~Follie! Sempre libera(そはかの人か花から花へ)
Diana Damrau – Estrano…Ah forse lui…Sempre libera 2014 Diana Damrau(高音有)
Joan Sutherland. La Traviata. 1963. É strano. Ah, forse lui. Sempre libera.(高温有)
La Traviata – E strano – Follie! (Gruberova)1992 微妙な高音
Natalie Dessay Traviata È strano…Ah! fors’è lui…Sempre libera (Aix 2011)微妙な高音
Renee Fleming – È strano…Sempre Libera “La Traviata” ルネ・フレミング
La Traviata – : Scena ed Aria – Finale, “È strano! – Ah, fors’è lui” (9)Willy Decker演出
“Follie! Follie! Delirio vano è questo! – Sempre libera” (10)Willy Decker演出
94☞De’ miei bollenti spiriti(燃える心を)
Luciano Pavarotti – De’ miei bollenti spiriti (Los Angeles, 1973) パバロッティ
Giuseppe Filianoti – De’ miei bollenti spiriti…O mio rimorso 寝室から出るアルフレッド
Atto II, Quadro primo : “Lunge da lei – De’ miei bollenti spiriti” (11)Willy Decker演出
95☞O mio rimorso!
La Traviata: “O mio rimorso!” (Matthew Polenzani) Willy Decker演出、 MET2010
La Traviata: “O mio rimorso!” Michael Mayer演出、MET2018-19season
O mio rimorso – Alfredo – Traviata – Accompaniment ピアノ
96☞Pura siccome un angelo(天使のように清らかな娘)~Morrò! La mia memoria
Pura siccome un angelo / 바리톤 양준모 baritone Antonio Yang 韓流演出
La Traviata – Atto II, Quadro primo : Scena e Duetto, “Pura siccome un angelo” (14)
Dmitri Hvorostovsky & Marina Rebeka✬♫”Pura siccome un angelo”/La Traviata
Dmitri Hvorostovsky脳腫瘍手術1年後、亡くなる1年前の公演(2016年11月)
Anna Moffo & Gino Bechi – La Traviata (Verdi) – Pura siccome un angelo(1968映画)
“Dite alla giovine” – La Traviata Ermonela Jaho and Dmitri Hvorostovsky
La Traviata – Atto II, Quadro primo : Scena e Duetto, “Ah! Dite alla giovine” (17)
VERDI-LA TRAVIATA-Ah Dite alla giovine..
Traviata, Verdi, N DESSAY: “Morro!la mia memoria” Nathalie DESSAY
Act 2 – Duo “Morro, morro la mia memoria” – Melody LOULEDJIAN/Pablo GALVEZ
Fleming & Hvorostovsky – La Traviata duet 2/2
97☞Dammi tu forza o Cielo(愛してね)
Dammi tu forza, o cielo Willy Decker演出
La Traviata – Dammi tu forza, o cielo (Gruberova, Shicoff)Pier Luigi Pizzi (1992)演出
Fleming, Villazon – Dammi tu forza, oh cielo! ‘La Traviata’ ルネ・フレミング2006
48☞traviata di provenza il mar (プロバンスの海と陸)
Dmitri Hvorostovsky✬♫ “Di Provenza il mar, il suol”/Giorgio Germont
La Traviata – Atto II, Quadro primo : Scena ed Aria, “Di Provenza il mar, il suol” (22)
Renato Bruson in “Di Provenza il mar” Traviata 2007 Los Angeles
53☞Avrem lieta di maschera la festa~Di Madride noi siam Mattadori
La Traviata – Finale II, “Avrem lieta di maschere la notte” (24)仮面舞踏会のはじまり
TRAVIATA VERDI Noi Siamo Zingarelle 「占いましょう」クレイアニメ
“Noi siamo zingarelle” (Chœur des bohémiennes)パリ・ナショナルオペラ2018
La Traviata – Atto II, Quadro Secondo: Finale II, “Noi siamo zingarelle” (25)
Dalla Traviata di G.Verdi “Alla festa a casa di Flora Bervoix” Ivan Ciampa演出
La Traviata – Atto II, Quadro Secondo: Finale II, “Di Madride noi siam mattadori” (26)
La traviata – Noi siamo zingarelle – Di Madride noi siam mattadori
LA TRAVIATA – Coro di zingarelle e mattadori
45☞Alfredo! Voi!~ Ogni suo aver tal femmina
Jose Cura “Alfredo! Voi! ” La traviata 2000 Paris
La Traviata – Atto II, Quadro Secondo: Finale II, “Alfredo! Voi!” (27) Willy Decker演出
La traviata: ‘Ogni suo aver tal femmina’ (‘She gave up all she had’) – Glyndebourne
La Traviata – Atto II, Quadro Secondo: Finale II, “Ogni suo aver tal femmina” (29)
KOPANO CHORUS singing Ogni Sou Ver Tal Femmina(2011)African Singers Opera
Filianoti & Devia – La traviata, Atto 2º, Scene II
86☞Di Sprezzo Degno!
Fleming, Villazon, Bruson – Di Sprezzo Degno! “La Traviata”(2006)ルネ・フレミング
Atto II, Quadro Secondo: Finale II, “Di sprezzo degno se stesso rende” (30)
La Traviata (1982) – 12 – Di sprezzo degno.. .Alfredo, Alfredo, di questo core
ジャン・フランコ・ゼッフェレッリの映画よりテレサ・ストラータス、プラシド・ドミンゴ
87☞Teneste la promessa~Addio del passato
Anna Netrebko: “Teneste la promessa… – Addio del passato” (subt. italiano)
La Traviata – Teneste la promessa – Addio, del passato (Gruberova)
Renée Fleming – Addio del Passato “La Traviata”ルネ・フレミング
56☞Largo al quadrupede
La Traviata – Atto Terzo: Baccanale, “Largo al quadrupede” (35) 新たなカモ
57☞Signora, Che t’accade~Parigi, o cara noi lasceremo
La Traviata – Atto 3 – Signora! – Che t’accade?(1994)アンジェラ・ゲオルギュー
Verdi- La Traviata “Signora! Che t’accade”
La Traviata: “Parigi, o cara”(2018)Diana Damrau MET Michael Mayer演出版
La Traviata – 36 – “Signora…”, “Che t’ accadde?”, “Parigi, o cara, noi lasceremo”
Filianoti & Devia – La traviata, Atto 3 (Parigi, o cara)
49☞椿姫(1936年)12オペラではなくデュマの原作を元にしています。大人の女性グレダ・ガルボが、ロバート・テイラー1扮するアルマンと恋をします。
62☞椿姫(2003年)ジャン=クロード・ブリアリ (監督)
20 シチリアの晩鐘 (シチリア島の夕べの祈り)(Les vêpres siciliennes)
制作1855年 5幕 台本E.スクリーブ、C.デュヴェリエ 初演1855.6月13日 パリ・オペラ座
21a シモン・ボッカネグラ(Simon Boccanegra)
制作1857年 3幕
台本F.ピアーヴェ 初演1857.3月12日 ヴェネツィア・フェニーチェ劇場 初演版
台本A.ボーイト 初演1881.3月24日 ミラノ・スカラ座 ボーイトによる改訂版
➤原作は、実在ジェノバのドゥーチェ(総督)を題材にしたアントニオ・ガルシア・グティエレスの戯曲『シモン・ボッカネグラ』(1843年)。『イル・トロヴァトーレ』の原作者も同じ。
➤ジェノバはイタリアの他の都市に比べ広場が小さいと言われています。国への忠誠が強く広場に民衆が集まるベネチアなど他の都市と違い、有力な支配者一族が広場のまわりに家をたて広場ごと私物化したので、一族が集まるだけの空間でよかったのです。1
➤元船長シモン・ボッカネグラは平民階級の不満をおさえようとする皇帝派の後押しにより、ジェノバの初代ドーチェ(総督≒特定の条件の者から民主的に選ばれる王や大統領のような位置づけ)に選ばれました。対立する貴族派により一旦失脚しましたが、約10年後に復帰します。敵陣営の黒幕による毒殺と言われています。
➤フィエスキ家、グリマルディ家1は教皇派の貴族です。グリマルディ家はモナコ付近を支配していたジェノバの有力貴族で、現在のモナコ公国の当主もグリマルディ家です。フィエスキ家もジェノバの有力な貴族で、教皇を何人も輩出しています。アドルノ家13も有力貴族で、オペラに登場する第4代ドージェのガブリエーレ・アドルノ以降15世紀まで多くのドージェを輩出しています。
➤イタリアの諸都市はゲルフ(教皇派から派生)とギベリン(神聖ローマ皇帝派から派生)の派閥にわかれていました。ジェノバ共和国はまた、平民派と貴族派の争いもありました。ロミオとジュリエットの舞台となったヴェローナでも、ロミオの実家モンタギュー家(教皇派)とジュリエットの実家キャピュレット家(皇帝派)の争いがありました。
➤ヴェルディは冬用の別荘をジェノバに借りていて、なじみの街だったようです。また、ベルディと2番目の妻でプリマドンナのジュゼッピーナとの間の娘が孤児として里子にだされていた可能性を指摘する研究もあり、この作品のマリア(アメーリア)の背景に重なります。1
シモン・ボッカネグラ (バリトン)もとは後世でいう私掠船船長だが、平民派の後押しによりジェノヴァ共和国の初代総督になる。パオロの結婚を後押ししていたが、アメーリア(マリア)が娘の意を汲み破談にしたことで、恨んだパオロに毒を飲まされる。
マリア・ボッカネグラ (ソプラノ)シモンとフェイスコの娘マリアとの子。本編ではアメーリア・グリマルディと名乗っている。
ヤーコポ・フィエスコ (バス) もとジェノヴァ貴族でシモンの政敵。本編ではアンドレーア・グリマルディと名乗り、さらわれた孫娘とは気づかず孤児アメーリアを養育する。
ガブリエーレ・アドルノ (テノール) 貴族派の幹部でアメーリア(マリア)の恋人。
パオロ・アルビアーニ (バス)平民派のもと金糸職工で、のちジェノヴァ共和国の廷臣。シモンの腹心の部下でアメーリア(マリア)との結婚を望む。
ピエトロ (バリトン)平民派。パオロとともに共和国の廷臣となる。
射手隊長 (テノール)、侍女 (メゾソプラノ)
(メトロポリタン歌劇場アーカイブより Giancarlo del Monaco演出 (2010年上演)
22 アロルド(Aroldo)
制作1857年 4幕 台本F.ピアーヴェ 初演1857.8月16日 リミニ・ヌオーヴォ劇場
『スティッフェーリオ』の改作
23 仮面舞踏会(Un Ballo in Maschera)
制作1859年 3幕 台本A.ソンマ 初演1859.2月17日 ローマ・アポロ劇場
スウェーデンの国王グスタフ3世が1792年に仮面舞踏会の壇上で暗殺された事件を題材にしたオペラ。1史実では、専制的な政治に貴族が反対していたことが原因の、失敗に終わったクーデターで、暗殺者の妻との恋愛は架空の物語です。
ボストン総督リッカルド【グスタフ3世】(テノール)レナートに仮面舞踏会時に暗殺される主人公
リッカルドの秘書レナート【アンカーストレム伯爵】(バリトン)妻との仲を疑いリッカルドを暗殺
その妻アメリア(ソプラノ)リッカルドに恋する人妻
黒人の女占い師ウルリカ【マダム・アルヴィドソン】(メゾ・ソプラノ)リッカルドの暗殺を予言
オスカル(ソプラノ)リッカルドの舞踏会での仮装をレナートに教えてしまう小姓
シルヴァーノ(バリトン)リッカルドに登用され占いが当たったと喜ぶ水夫
陰謀者サムエル(バス)
共謀者トム(バス)
99☞Dunque, signori, aspettovi どんな配慮も喜びのためにすべきだ
“Dunque, Signori, Aspettovi !”(1990)MET、Luciano Pavarotti (Gustavo), Leo Nucci (Renato), and Harolyn Blackwell (Oscar)James Levine指揮。
Marcelo Álvarez & Kathleen Kim (Met Opera2012)デビッド・アルデン演出版
47☞Ve’ se di notte qui colla sposa 第2幕の最期のアメリア、レナート、サミュエル、トムの合唱。ベールの下がレナートの妻であることに気づいた皆が、妻の逢引と誤解しあざけってアッハッハッと嘲笑する歌
AS, SC, GP & AH – Ve’ se di notte qui colla sposa(2016)
FV & CT – Ve’ se di notte qui colla sposa 2006
グルタフ3世は、妻との仲が良くなく、ホモセクシュアルだったとか、マリー・アントワネットの愛人ハンス・アクセル・フォン・ヘルゼン伯1であったとの噂があります。また、グスタフ3世暗殺の黒幕はそのフェルセン伯の父14だという説もあります。
24a 運命の力(La forza del destino)
制作1862年 4幕 台本F.ピアーヴェ 初演1862.11月10日 ペテルブルク・帝室歌劇場
原作は、リバス公ドン・アンヘル・デ・サーベドラ・ラミレス・デ・バンケダーノの戯曲『ドン・アルバーロ、あるいは運命の力』(Don Alvaro, o La Fuerza del Sino )。野営地のシーンはフリードリヒ・フォン・シラーの戯曲『ヴァレンシュタインの陣営』(Wallenstein Lager )よりの借用1。
原典版では、アルヴァーロは恋人の後を追って自殺する設定ですが、今日でもよくヴェルディのオペラが上演されるイタリア、フランス、スペイン、ポルトガル、オーストリア、バイエルン、ラテンアメリカの土地を含む国々では、自殺はカトリック教徒として許されない罪と考えられており、残りの人生を悔い改めて過ごす設定に変えられました。15
カラトラーヴァ侯爵(バリトン)娘の結婚に反対。娘たちがの駆け落ちの相談をしている時にアルヴェーロの銃の暴発で死亡。
ドンナ・レオノーラ(ソプラノ)アルバーロの恋人で侯爵の娘。男装して逃亡中に恋人とはぐれていた時、たまたま兄が「アルヴァーロが米国に帰った」というのを聞いて恋人に捨てられたと思い、男性修道士になりすまし修道院近くの洞穴で隠遁。ある時、修道士として死を看取るため呼び出されると、アルヴァーロと瀕死の兄であった。兄に刺され死ぬ。
ドン・カルロ・ディ・ヴァルガス(バリトン)父のかたき討ちのためのアルヴァーロを探す侯爵の息子、レオノーラの兄。軍隊で互いに素性を知らずにアルヴァーロと義兄弟となるが、アルヴァーロの持ち物から素性が判明し決闘を持ち掛けるも、負けて瀕死となる。
ドン・アルヴァーロ(テノール):レオノーラの恋人。スペイン人のペルー総督とインカ帝国末裔の王女との間に生まれたという複雑な出自をもつ騎士で、恋人レオノーラは死んだと思い、またイタリア戦で負傷し修道院に隠遁。恋人の兄カルロを決闘で刺す。原典版では、恋人の後を追い自殺。
プレツィオジッラ(メゾソプラノ)ジプシーの若く美しい娘。
グァルディアーノ神父(バス)レオノーラを支援する修道院長。なお「グァルディアーノ」は人名でなく、Padre Guardianoで修道院長の意。
フラ・メリトーネ(バリトン):下働きの修道士。
吉田裕史指揮 ボローニャ歌劇場フィルハーモニー首席指揮者 兼 芸術監督
チョン・ミョンフン ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団 (1997 ライブ)
G. Verdi: La forza del destino (obertura) – Maazel – Sinfónica de Galicia
58☞プレツィオジッラの軍歌ラタプラン
Verdi:La forza del destino:”Rataplan”- Luciana D’Intino
Cecilia Bartoli – Rataplan – Echo 2008
Nadia Krasteva – La Forza del Destino – Rataplan
Rataplan – La fille du regiment- Teatro Verdi Trieste
10b マクベス(Macbeth)
制作1865年 4幕 台本F.ピアーヴェ 初演1865.4月21日 パリ・リリック劇場
同改訂版
25a ドン・カルロス(Don Carlos)
制作1867年 5幕 台本F.J.メリ、C.d.ロクル 初演1867.3月11日 パリ・オペラ座
フランス語版
24b 運命の力(La forza del destino)
制作1862年 4幕 台本A.ギズランツォーニ 初演1869.2月27日 ミラノ・スカラ座
26 アイーダ(Aida)
制作1871年 4幕 台本A.ギズランツォーニ 初演1871.12月24日 カイロ・オペラ座
オスマン帝国のエジプト総督イスマーイール・パシャが、ヴェルディ1に依頼。1
1幕1場の「清きアイーダ」の他に2幕2場の「凱旋行進曲」が有名。ヴェルディの生誕地イタリアのパルマのサッカークラブ、パルマFCは元々ヴェルディ・フットボール・クラブ」 (Verdi Football Club) を名乗っており、応援歌として「凱旋行進曲」が使われています。日本人のサッカー選手、中田英寿がこのクラブに所属したことから、日本のサッカーでも応援歌として有名になりました。
エジプト王(バス):ファラオ。
アムネリス(メゾソプラノ):ラダメスを恋するエジプト王女。
アイーダ(ソプラノ):エチオピア王女で女奴隷。
ラダメス(テノール):軍隊の指揮官。アイーダの恋人。
34☞サム・ワナメイカー演出版。1981年サンフランシスコのウォー・メモリアル・オペラ・ハウスで行われたライヴ。サンフランシスコ・オペラ管弦楽団&合唱団。ルチアーノ・パバロッティ出演
35☞宝塚歌劇団版。王家に捧ぐ歌-オペラ「アイーダ」より-(’15年宙組・東京・千秋楽) 宙組 東京宝塚劇場
36☞フェルザン・オズペテク演出版(トルコ共和国出身の脚本家、映画監督)2011年 フィレンツェ五月音楽祭 ライブ収録。ズビン・メータ指揮。
37☞フランコ・ゼッフェレリ演出版。ミラノ・スカラ座管弦楽団2006年。
38☞フランコーニ・リー演出版。(ヴィスコンティ孫弟子)パルマ王立劇場。
39☞ロバート・ウィルソン演出版。2004年1ブリュッセル王立モネ劇場、大野和士指揮。
40☞エリシャ・モシンスキー演出版。コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団&合唱団
41☞Felix Breisach (監督) 版。
42☞サンドロ・セキ演出版。監督: ピエール・ジュルダン。1976年オランジュ古代劇場。
43☞ミュージカル版(2000年初演)1は、作曲:エルトン・ジョン、作詞:ティム・ライス。ディズニー制作。トニー賞のベスト・オリジナル・スコア賞、ミュージカル女優賞、ベスト舞台美術賞、ベスト・ライティング・デザイン賞。グラミー賞ベスト・ミュージカル・アルバム賞。18
44☞歌舞伎版(2008年)『野田版 愛陀姫(あいだひめ)』という題で上演されました。作・演出は野田秀樹、出演は中村勘三郎ほか。舞台設定を戦国時代、斎藤道三が治める美濃に移して翻案、勘三郎演じる濃姫(アムネリス)の悲恋に主軸が置かれた物語。
25b ドン・カルロ(Don Carlo)
制作1884年 5幕 台本F.J.メリ、C.d.ロクル 初演1884.1月10日 ミラノ・スカラ座
イタリア語版。複数あり
スペイン王のフェリペ(フィリップ)2世は生涯に正妃を4度娶りました。
➤王太子時代16歳の時に、従姉妹で同い年のポルトガル王女マリア・マヌエラと結婚し、2年後にカルロスが生まれましたが、マリア・アヌエラはその4日後に産褥死しました。オペラ『ドン・カルロ』はこのカルロスが主人公です。
➤27歳の時に38歳のカトリックのイングランド女王メアリー1世と結婚し王配となりました。イングランドを手に入れる(二人の間に生まれた子にイングランドを継がせる)政略のための結婚でしたが、メアリーは子を設けず4年後に死亡し、イングランドとの婚姻による連携は無くなりました。ただ、イングランド宮廷に滞在中にエリザベスに求愛していたとか、メアリー女王の後継女王となったエリザベス(即位時25歳)に求婚したとか、メアリー治世後の政略結婚を模索していた様子はあります。カトリック反対派や国内外の情勢を政治的に判断したエリザベスは生涯未婚のままでした。
➤32歳の時に14歳のエリザベート・ド・ヴァロワと結婚しました。元々エリザベートと同い年のカルロス王子の妃として交渉されていましたが、子供を望むフェリペの妃となり2人の娘を設けました。オペラ『ドン・カルロ』の原作フリードリヒ・フォン・シラー戯曲『ドン・カルロス』(1787年作)はこのエピソードに基づきエリザベートとカルロスの間に恋愛関係があったとイメージしています。ただ、カルロスは身体と精神的に健康ではなかった評が当時のボヘミア大使の記録にあるそうです。サディストであったとも言われています。父に対する反乱のかどで逮捕監禁され23歳で牢死しました。その数か月後にエリザベートは死産後、急死しました。
➤43歳の時に母方の姪(父方の従兄弟の子)で21歳のアナ・デ・アウストリア1結婚し、5人の子を設けましたが、アナは30歳で伝染病にて死亡しました。その後、フェリペ2世は71歳で亡くなるまで正妃を娶りませんでした。
➤フェリペ2世の父カール5世(スペイン王としてはカルロス1世)はベルディの以前のオペラ『エルナーニ』に登場します。
➤オペラ『ドン・カルロ』に登場するエボリ姫はアナ・メンドゥーサを意識して設定されています19。フェリペ2世の肝いりで12歳の時に37歳のエボリ公ルイ・ゴメス・シルヴァと結婚しエボリ姫(プリンセス・エボリ)と呼ばれ、エリゼベートの友人でもありました。ルイの父はカール5世のイゼベル妃がポルトガルから嫁いでくる際に随行し、そのままスペインにとどまりました。ルイが11歳の時フェリペ2世が生まれ、母のイザベル王妃から王子付の小姓として任命されて以来、生涯にわたり緊密な友情をはぐくみました。フェリペ2世の即位後は重用され夫婦で宮廷に影響を及ぼしました。
➤エボリ姫アナは活発な人物だったようです。美女として有名だったようですが、若いころに狩りで右目を負傷し眼帯をしている絵画が残されています。
➤オペラ『エルナーニ』には架空の人物としてカール5世王に謀反しようとする老人貴族ルイ・ゴメス・シルヴァと、姪でルイと結婚させられる若き美女エルヴィーラが登場し、カール5世はエルヴィーラに求愛します。実際に姪であったかどうか不明ですが、エボリ姫ことアナ・メンドゥーサの母はシルヴァ一族なので、時代は少し違いますが、原作者ユゴーは後年のシルヴァ夫婦からインスピレーションを受けて登場人物としたとも考えられます。
➤シラー戯曲『ドン・カルロス』の原作はフランスのセザール・ピエルの『ドン・カルロス』(1672)。宗教改革の発信地ドイツ出身のシラーにとってスペインは頑迷なカトリックの象徴で、異端審問は陰惨なイメージのものでした。最後は国王が王子を異端審問官に引き渡す悲劇となっています。
➤プロテスタントのドイツ人であるシラーは自由を重んじました。第九の’歓喜(Freude)の歌’はシラー作詞ですが、ベートーヴェンによって変えられる前の原詩は‘自由(Freihelt)の歌’でした。
➤1867年のパリでのフランス語初演は評判がよくなかったそうです。当時のスペイン出身のフランス皇后ウージェニーが途中退席したのは、カトリックへの批判を感じて激怒したからとも言われています。1
27 オテロ(Otello)
制作1887年 4幕 台本A.ボーイト 初演1887.2月5日 ミラノ・スカラ座
オテロ(テノール)ムーア人で、ヴェネツィア領キプロスの総督。浮気を疑い妻を絞殺するが、真相を知り短剣で自殺。
イヤーゴ (バリトン)妻が拾ったハンカチを利用してデズモーナの浮気を吹き込むオテロの旗手。
カッシオ(テノール)酒に弱いオテロの副官。
ロデリーゴ(テノール)イアーゴに利用されるが、最期にその悪事を白状するヴェネツィアの貴族。
デズデーモナ(ソプラノ)カッシオとの浮気を疑われるオテロの妻。
エミーリア(メゾソプラノ)イヤーゴの妻で、デズデーモナの女中。デズモーナのハンカチを拾う。
28 ファルスタッフ(Falstaff)
制作1893年 3幕 台本A.ボーイト 初演1893.2月9日 ミラノ・スカラ座
サー・ジョン・ファルスタッフ(バリトン)人妻二人を誘惑しようとする太った紳士。
フォード氏(バリトン)ファルスタッフが妻を誘惑しようとしていると嫉妬する紳士。娘をカイウス博士と結婚させようとしている。
アリーチェ・フォードソプラノ)フォード夫人。ファルスタッフから同じ文面の恋文を受け取り懲らしめる。
ナンネッタ(ソプラノ)フォード夫妻の娘でフェントンの恋人。
メグ・ペイジ(メゾソプラノ)ペイジ夫人。ファルスタッフから同じ文面で恋文を受け取り懲らしめる。
クィックリー夫人(メゾソプラノ)フォード夫人、ページ夫人と共にファルスタッフを懲らしめる。
フェントン(テノール)ナンネッタの恋人で求婚者。
カイウス博士(テノール)ナンエッタへの求婚者。
バルドルフォ(テノール)、ピストーラ(バス)、ファルスタッフの従者
原作はシェイクスピアの『ウィンザーの陽気な女房たち1』
ヘンリー5世の盟友であったジョン・オールドカースル(Sir John Oldcastle)がモデルとされており、実在の人物で『ヘンリー六世』(第1部)にも登場するジョン・ファストルフ(Sir John Fastolf)の姓を綴り変えた、フォルスタッフという架空の姓を創造したそうです。シェイクスピア『ヘンリー4世』に登場する太った陽気な騎士で、当時から人気の登場人物でした。
ヘンリー4世から200年ほど下ったエリザベス1世女王が、恋するファルスタッフを見てみたいというので、シェイクスピアが同時代に登場させて書いた戯曲とか。(エリザベス1世やシェイクスピアにとっては史劇ではなく現代劇)ヴェルディ以外にも、アントニオ・サリエリ、オットー・ニコライ、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズなどによってオペラ化されています。
(第1幕)金に困ったファルスタッフが、フォード夫人とページ夫人を金目当てで誘惑しようと同じ内容のラブレターを送りますが、女性達には見透かされており、クイックリー夫人、フォード夫人の娘ナンネッタを加えた4人の女性達が、ファルスタッフを懲らしめたいと意気投合します。
(第2幕)従者達からラブレターの話を聞いたフォード氏は変装してファルスタッフに、フォード夫人(実は妻)を取り持つので金を払えで要求します。ファルスタッフがめかしこんでフォード家を訪ねるとクイックリー夫人とフォード夫人に加えページ夫人も来訪、更に逢引現場を押さえるためフォード氏が帰宅し、あわてたファルスタッフを女性達が洗濯籠に押し込めます。フォード氏が衝立を暴露すると、ファルスタッフではなく娘のナンエッタと恋人フェントンの恋愛場面に出くわし驚きますが、ひとまずファルスタッフを探しに再び外出します。そのすきに女性達はファルスタッフの入った洗濯籠を窓からどぶ川へ投げ捨て大笑いします。
(第3幕)懲りないファルスタッフが再びフォード夫人との逢引として真夜中の公園に呼び出されるも、妖精に変装したナンネッタをはじめとする女性陣やエルフに変装したフォード氏をはじめとした男性陣がファルスタッフに襲い掛かり、慌てた様子を全員で嘲ります。混乱の中で、フォード氏が娘ナンネッタをカイウス医師と結婚させようとサプライズ結婚式を企みますが、恋人とナンネッタが結婚できるように女性陣が裏をかき大団円。ファルスタッフは騙されていたのは自分だけじゃないと喜び、女性陣は男性3人とも(フォード氏、カイウス医師、ファルスタッフ)ばかね、と歌い、全員が「世の中すべて冗談だ」と歌います。
メトロポリタンアーカイブ↑ Robert Carsen演出版(2013年上演)より
舞台を江戸時代に変えた演出。テムズ川は隅田川に。59☞William Shakespeare – The merry wives of Windsor(『ウィンザーの陽気な女房たち』映画化)
- ウィキペディア(日本語)ナブッコ
- Metropolitan Opera Nabucco
- Wikipedia(English)Intrigue and Love
- Wikipedia(English)Nathaniel Merrill
- The METropolitan Opera>Verdi Luisa Miller
- Wikipedia(English)Luisa Miller
- Wikipedia Denis Krief
- Wikipedia(Engish)Le roi s’amuse
- Wikipedia(Engish)Triboulet
- Wikipedia(English)Rigoletto(1993 film)
- 『ゼッフェレッリ自伝』東京創元社(1998年)pp.570-574
- ウィキペディア(日本語)椿姫(1936年の映画)
- Wikipedia(English)Adorno family
- Wikipedia(Englsih)Axrl von Fersen the Elder
- METropolitanOpera>Verdi’s La Forza del Destino
- Wikipedia(English)John Dexter
- The METropolitan Opera
- Wikipedia(English)Aida(musical)
- Wikipedia(English)Ana de Mendoza y de Silva, Princess of Éboli
- MARIO TASHIRO OFFICIAL BLOG>大江戸版 好色男のファルスタッフ
- IFAC世界芸術文化振興協会>オペラ 大江戸版 好色男のファルスタッフ
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