君、君たらずとも、臣、臣たらずべからず12という表現はどのようなシステム(しくみ・構造・きまりごと)をあらわすのか?
朝日新聞「天声人語」の記事に、表題の言葉が紹介されていました。
国会答弁で失言した大臣
「総理が適材適所と思って選んだ。その選んでいただいた人に、立派に任務を果たすように、しっかり取り組んでいる」えっ、働くのはもっぱら総理のため?国民のためじゃないの?
財務省の理財局長
「公務員として、お仕えした方に一生懸命お仕えすることが仕事だ」ここでも目が向く先は大臣など上司のようだ。自分だちは国民に奉仕する公僕である。(後略)
「君、君たらずとも、臣、臣たらずべからず」主君が立派でなくとも、家臣は忠誠心を持たねばならない。絶対服従の教えである。臣下としての資質は、しっかりお持ちの方は多い。そんなふうに思えてしまうのが、昨今の永田町・霞が関である。
出典は、曽子の門人が孔子の言動をしるしたという『孝経』3。
戦国時代は、「君、君たらざれば、臣、臣たらず」(管子 形勢(山高)編)主君に徳なく主君らしく振舞わなければ、臣下は忠節を尽くす必要はない(べきでない)という考え方が多かったのですが、世の中が太平になり徳川幕府の秩序が広がった江戸時代には表題の「君、君たらずとも、臣、臣たらずべからず」という考え方が広まったそうです。4
孝教自体は、日本には古くから伝達しており、780年頃には、古文孝経をもとにした文章が使われているそうです。5
- 朝日新聞2018年11月11日(日)朝刊「天声人語」
- 大辞林 第三版の解説
- 孝教 ウィキペディア(日本語)
- GOING EXTRA MILE – 英語を学ぶログ♪ 君、君たらざれば、臣、臣たらず
- 東野治之「美努岡万墓誌の述作–「古文孝経」と「論語」の利用をめぐって」、『万葉』第99号、1978年、 59-70頁。
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