読書と算数
読書量多いほど算数向上=「問題正確に読み取る」1
読書量が多いほど学力が向上し、特に算数で影響が大きい-。こんな結果がベネッセ教育総合研究所(東京)の調査で明らかになった。同研究所は「与えられた問いや条件を正確に読み取る力を高めているのではないか」とみている。
調査は2016年8月から17年12月の間、小学5年生(調査開始時)4万2696人がベネッセの電子書籍サービスを利用して本を読んだ数と、学力テストの結果を分析した。
その結果、10冊以上読んだグループは4教科(国語、算数、理科、社会)の平均偏差値が1.9ポイント上がったのに対し、読書をしないグループでは0.7ポイント下がった。いずれの教科も読書量が多いほど偏差値が上がり、特に算数では「多い」と「しない」グループの間に4.8ポイントの大きな差が付いた。
当初の学力が高い子どもと低い子どもに分けて読書の効果を調べると、低い子どもの方が読書による学力の伸びが大きいことも分かった。
読書と睡眠時間と偏差値
読書時間と偏差値
脳科学のスペシャリスト川島隆太先生の研究室と仙台市の小中学校が共同で読書と成績の関係についての調査によると、小学3年生か中学3年生までの4万人の4教科の平均について、
読書時間と平均偏差値は有意に関係があることがわかったそうです。2
・全く読まない子どもの偏差値:47.5
・1日10分未満の子どもの偏差値:49
・1日10分~30分の子どもの偏差値:51
・1日30分~60分の子どもの偏差値:51.5
・1日1~2時間の子どもの偏差値:51.8
・1日2時間以上の子どもの偏差値:51
1日2時間以上読書する子どもが1~2時間の子どもより偏差値が低いのは、寝る時間をけずって読書しているからなのだそうです。
読書習慣と集中力が関係していると思う。
睡眠時間と平均偏差値の関係は、
・1日の睡眠時間が5時間未満:44
・1日の睡眠時間が5~6時間:47
・1日の睡眠時間が6~7時間:50
・1日の睡眠時間が7~8時間:52
・1日の睡眠時間が8~9時間:51
・1日の睡眠時間が9時間以上:49
7~8時間が最も偏差値が高いですね。あまり寝すぎるのも成績にとってはよくないようです。
大学生の読書習慣
2014年、全く本を読まない学生が初めて4割を超えた(40.5%)との報道がありました。3
1か月間に書籍に費やされる金額も、直近では2004年比で自宅生が490円、下宿生は830円それぞれ少なくなっている。
電子書籍を含んだ読書時間でも、近年は減り続けている。米国のトップレベルの大学では在学中に500冊近くの本を読むといい、大きな差が見られる。
2017年の調査では、1日の読書時間がゼロの大学生は過半数を超えました(53.1%)。 4
一方、「読書をする」という大学生の平均読書時間は1日あたり51.1分で前年より2.5分延びており、「二極化」が進んでいるようだ。
読書時間を「120分以上」と答えた学生は5.3%で、10年以上にわたってほぼ横ばいで続いている。
この調査を行った全国大学生活協同組合連合会では、第53回学生生活実態調査の概要報告5の中で、読書時間ゼロの学生は、女性、医歯薬系、理系、1~2年、勉強に比重を置かない学生に多いと報告している。スマホや勉強時間との関連性はあまり認められず、むしろ高校までの読書習慣の影響が大きいと分析しています。
- 単純に「小学生時の読書習慣あり→算数が得意→理系→理系の学生がたくさん本を読む」という構造ではなさそうだ。
- 「小学生時の読書習慣あり→勉強ができる→高学歴の学生がたくさん本を読む」という仮説は可能性あり。
- たくさん本を読んだら幸せになれるか?読書と幸福度の関連を調べてみたい。
- 読む本の種類によっても違うのではないか?(ノンフィクション、SF、ラノベ、マンガ、古典文学、推理小説etc…)
- 上記の仮説が検証されるとしたら、日本の大学生の読書量は年々減っている→学力の低下または幸福度が下がる?
- 世界的な傾向および読書と学力や幸福度の関係の調査要。
この詳しいデータおよび調査報告は全国大学生活協同組合連合会のウェブサイトから購入できます。6
各大学などでも生活実態調査を実施し、報告書を公開しています。
- 読書量多いほど算数向上=「問題正確に読み取る」時事通信社 2018/11/07
- 最新脳科学でついに出た結論 「本の読み方」で学力は決まる (青春新書インテリジェンス) 新書 – 2018/9/4 松﨑 泰 (著), 榊 浩平 (著), 川島 隆太 (監修)
- J-CASTニュース 大学生「読書時間ゼロ」初の4割超え 本を買わず、電車内でスマホいじる 2014/3/2
- 大学生、読書時間ゼロが過半数 「読む」層は時間延びる 杉原里美 2018年2月26日20時31分
- 全国大学生活協同組合連合会「第53回学生生活実態調査の概要報告」
- 全国大学生活協同組合連合会 学生生活実態調査報告書のご案内 学生生活実態調査報告書『CAMPUS LIFE DATA2017』
- 東京大学 学生生活実態調査
- 京都大学学生生活実態調査報告書
- 慶應義塾大学大学院生生活実態調査報告 慶應義塾大学学生総合センター 1996.3継続中-
- 独立行政法人学生支援機構 学生生活調査
- リクルートキャリア 「大学生の実態調査2016」
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