『姫神』安部龍太郎
宗像氏1は筑前の古族。安曇氏、海犬養氏と同様に、日本海の海人族2で、世界遺産にもなった宗像神社3を奉じる一族。沖ノ島の沖津宮(田心姫神タゴリヒメ)、筑前大島の中津宮(湍津姫神タギツヒメ)、宗像市田島の辺津宮(市杵島姫神(イチキシマヒメ)の三社の総称で、宗像三女神を祭っており、航海や交通安全の神とされています。
韓国の済州島には三姓神話4といって、済州の三人の神が東国からきた三人の娘を妻としたとの神話5があり、これを日本の宗像三女神と結び付けて考える説もあります6。済州島には中世まで耽羅7(チンラ又はタンラ)という独立国があり、半島本土とは違う文化を持っていました。日本海沿岸の海人族のなかで、共通する神話人物もあっておかしくはありません。
死体や便所から食物の神が生まれる済州の神話あるいは民間伝承も、日本の神話と似ているとの指摘もあります8。
天武天皇の妃に宗像氏出身の尼子娘(あまこのいらつめ)9が、ありますが、海人(男性)、海女(女性)10と書いて「アマ」と読むように、海人族系の宗像氏出身の姫ならではの名称だとも考えられます。また、天武天皇は大海人皇子(おおあまのみこ)とよばれていました。海人系の安曇氏11の支族である凡海(おおあま)氏12に養育されたと考えられています。
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