人間工学

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「人間工学」一般社団法人 日本人間工学会誌

運動能力への過信があるほど避難行動が遅れる

2019Vol.55No.6(233-268)短信「平成30年7月豪雨被災地域住民を対象とした運動能力の主観的見積りと災害発生時避難意図との関係」岡山県立大学情報工学部 大山剛史ほか

内閣府の調査1では避難勧告・避難指示に従ったもの2.6%、自宅にとどまった者53.4%。

この研究では、実際の避難行動と、直立とびや 穴に棒を差し込む実際の運動パフォーマンスに対する被験者自身の見積り評価と結果を調査分析し、自身の運動パフォーマンスを過信しやすい人ほど実際の災害時に避難行動をとろうとは思わない傾向があり、自身の運動パフォーマンスをひかえめに見積もる人ほど避難行動を取ろうと思いやすい傾向にあると推測しています。

また、性格が慎重と判断された回答者は、軽率と判断された回答者よりも避難行動を意図しやすいとした先行研究2も紹介しています。

ウェルビーングとは

2019Vol.55No.5(163-232)「2019年度PIE研究部会企画「ポジティブ心理生理学」参加報告」蜂須賀知理(東京大学 大学院新領域創成科学研究科)ではwell-beingの定義について活発な議論があったことが報告されていました。

「健康とは、身体面、精神面、社会面における、すべての well-being(良好-性)の状況を指し、単に病気・病弱でない事とは意味しない」

“Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”の3   (1948年にWHO(世界保健機関)が出した憲章

患者の健康とウェルビーイングを第一に考慮するものとする
THE HEALTH AND WELL-BEING OF MY PATIENT will be my first consideration;     (2017年ジュネーブ宣言(更新版)より)

精神的ウェルビーイング獲得方法[7]
1.地域や家族とつながりを持つこと。
2.身体的運動を行うこと。自分が楽しめ生活の一部になるようなものでよい。
3.スキルを得ようと学ぶこと。料理、楽器、自転車修理などからでよい。
4.他の者に与えること。言葉や笑顔のような小さなものからでよい。
5.今この瞬間に注目すること(マインドフルネス)。
(2014年英国国民保健サービス(NHS)推奨)

(Amazonリンク)『ヒューマン・ファクター』 (ハヤカワepi文庫) グレアム ・グリーン (著), 加賀山 朗 (著), 加賀山 卓朗 (翻訳)

「人間工学」は米国ではhuman factorsと呼ばれることもあります。(グレアム・グリーンはイギリス人でMI6に在籍していたこともあるそうです)

 


 

  1. 内閣府,”平成30年7月豪雨を踏まえら水害・土砂災害からの非難のあり方について.平成30年7月豪雨による水害・土砂災害からの非難に関するワーキンググループ”
  2. 竹之内,山口他,“住民の性格が避難意識に与える影響分析”.日本都市計画学会関西支部.2016.p117-120.
  3. Zimmer, Ben (2010年4月16日). “Wellness” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331 2019年5月28日閲覧。

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