教訓登録簿と教訓リポジトリと組織のプロセス資産の違いは何ですか

Yukipedia
教訓の残し方Curious SDM Lab.

教訓登録簿教訓リポジトリ組織のプロセス資産の違いがよくわかりません。

教訓登録簿(lessons learned)は、プロジェクトの最中に失敗や成功などの反省・振り返りを記録しておく文書です。例えば毎日の業務日誌など、プロジェクトの間ずっと継続的に記入されます。PMBOK®Guideでは、🏃実行プロセス群と👓監視コントロールプロセス群、🙌終結プロセス群のほとんどすべてのプロセスのインプットとアウトプットに教訓登録簿が挙げられています。教訓は1度記録するだけでなく、反省の度に前の文書に書き足していきますので、教訓登録簿はこれらのプロセスのインプット・アウトプット両方に挙げられます。インプットとした文書に追加記入していくことを更新(アップデート)といいます。なので、厳密に区別するためには、インプットを単に教訓登録簿、アウトプットを教訓登録簿更新版ということもあります。

PMBOK®Guideのすべての文書はプロジェクトマネジメント計画書プロジェクト文書のふたつのどちらかのカテゴリーに分類されます。教訓登録簿プロジェクト文書のカテゴリーですから、プロセスのインプットのプロジェクト文書という項目の中に教訓登録簿が含まれています。アウトプットも同様で、プロジェクト文書更新版という項目の中に教訓登録簿更新版が含まれています。

ところで、計画の際には、まだ実際に実行していないので、まだ反省は出てきません。なので教訓として書くこともないので、基本的には👆計画プロセス群のプロセスではインプットにもアウトプットにも教訓登録簿は挙げられません。ただ、見積りスケジュール策定、リスク特定など、同じプロジェクトやフェーズで何度も行われることが多い一部のプロセスでは、インプットやアウトプットに教訓登録簿が挙がっている場合もあります。

基本的には教訓登録簿は、現在のプロジェクトや現在のフェーズで使うものです。例えば、毎日の業務日誌や会議議事録などは、「あれ~、この間の会議では、ホワイトボードとマイクの他に何を用意したのだっけ?」というように時々参考にします。

でも、メンバーの違う次のプロジェクトなどでは、いちいち、前回の担当者に問い合わせて業務日誌に書いてあることを探してもらったりするのは自分にも相手にとっても面倒ですよね。ですから、次のフェーズやプロジェクトでも役立つように、会社(組織)として利用できるデータベース(PMBOK®Guideには知識ナレッジベースと表現されています)として保存しておきます。それを保管しておく場所を教訓リポジトリ1といいます。

リポジトリrepository】貯蔵所、倉庫、納骨堂,埋葬所、〔知識などの〕宝庫、〔秘密などを〕打ち明けられる人2
データベースdatabase】電算機で迅速に検索利用可能になるように分類整理されたデータの集合体3
ベースbase】基部、底、土台、台座、(物事の)基礎、根拠、ふもと、つけ根、(行動・計画などの)出発点、基点、基地、下地、主成分4

PMBOK®Guide第6版には記載がありませんが、組織のナレッジとして教訓を使えるデータベースにするためには次の3点が必要です。
保管場所を明らかにすること・索引をつけること・わかりやすい名前をつけること

PMBOK®Guideによると教訓リポジトリをアウトプットするタイミングは2か所あります。

ひとつはサプライヤー(仕入先、外注先、アウトソーシング先)との関係が終了したタイミングです。
サプライヤーのパフォーマンスや契約の時の留意事項などを、教訓として今後、組織で利用できるように残しておくのです。PMBOK®Guideでいえば調達のコントロール(🚚調達マネジメントエリア×👓監視コントロールプロセス群)プロセスのアウトプットに教訓リポジトリが挙がっています。

もうひとつは、プロジェクトやフェーズの最後のタイミングです。
現プロジェクトやフェーズの最後に、次のプロジェクトやフェーズで利用できるよう、教訓登録簿をデータベース化して残しておくと考えればよいでしょう。「会議の準備物チェックリスト」とか「困った時には・・・Q&A」などの項目で組織の誰もが利用できるような形で残しておくのです。PMBOK®Guideでは、プロジェクトやフェーズの終結(❕統合マネジメントエリア×🙌終結プロセス群)のアウトプットに教訓リポジトリが挙がっています。

組織のプロセス資産©YukikoOstuka

これら2か所のアウトプット教訓リポジトリは、組織のプロセス資産更新版という項目に含まれています。組織のプロセス資産(OPA;Organizational Process Assets)はPMBOK®Guide第6版第2章に詳しく解説してありますが、プロジェクトや業務などから生まれた反省などの教訓や、組織としての過去の経験から設定した標準的な方針や手順などです。具体的にはテンプレート(書類のひな形)や手順(マニュアル)、チェックリストなどが含まれ、いわば組織のとしてのナレッジです。もちろん、教訓登録簿を元に更新された教訓リポジトリも含みます。

プロジェクトの間中、前の(昔の)会社(母体組織)のテンプレートや手順に従うという意味で、ほとんどすべてのプロセスのインプットとなっています。

アウトプットになる場合は、会社(母体組織)のナレッジを良いものに書き換えるという意味で更新という言葉が使われ、組織のプロセス資産更新版といいます。

ちなみに、項目名に更新版という用語が付随する場合は必ずアウトプットの項目です。

下記の記事も参考にしてください。

「組織のプロセス資産」「教訓登録簿」のインプット・アウトプット

YukikoOtsuka(CC BY-NC-ND 4.0)

YukikoOtsuka(CC BY-NC-ND 4.0)

YukikoOtsuka(CC BY-NC-ND 4.0)

YukikoOtsuka(CC BY-NC-ND 4.0)


  1. IT用語辞典>リポジトリ
  2. 研究社 新英和中辞典
  3. 研究社 新英和中辞典
  4. 研究社 新英和中辞典

コメント

  1. Akira より:

    初の教訓レポジトリ作成のため、Googleからこちらのサイトに辿り着きました。
    大変分かりやすい解説をありがとうございます!